ペットと逃げられる避難所、公表進まず 現場認識にばらつき 国は推奨も、兵庫は神戸や明石10市のみ

ペットとの同行避難の模擬訓練に臨む飼い主ら=昨年12月、神戸市須磨区白川台7、市立白川小学校

 災害時にペットと一緒に避難する「同行避難」について、兵庫県内41市町のうち、ペットの受け入れ施設をホームページ(HP)などで公表しているのが10市にとどまることが分かった。国は受け入れ可能な施設を確保し、公表するよう自治体に求めているが、行政の現場には十分浸透していない状況がうかがえる。

 ペット避難を巡っては、2011年の東日本大震災で自宅に残された犬や猫が野生化したことを受け、環境省が同行避難を推奨する指針を設けた。ただし、避難所で他の被災者とのトラブルになるケースもあるため、受け入れの態勢整備が課題になっている。

 同省は21年3月、自治体向けにチェックリストを公開。ペットと一緒に避難できる施設の確保と公表を市町村に求め、避難所での具体的な飼育環境も定めるよう呼びかけた。

 これを受け、兵庫県で受け入れ施設を公表しているのは、神戸▽尼崎▽西宮▽明石▽加古川▽芦屋▽伊丹▽宝塚▽三田▽赤穂-の10市。尼崎市や西宮市は施設内の具体的な飼育場所も含めてHPで一覧を公開。明石市は「指定避難所(小中学校)で原則受け入れ」と表示する。

 神戸市は昨年、指定避難所となっている小中学校の校長らと協議し、一時飼育場所を選定。現在はペットの受け入れ可否を避難所ごとに「○」「×」で市HPに公表している。

 一方、残りの31市町は取材に対し、大半がペットを受け入れる姿勢を示したものの、具体的な施設名の公表には至っていない。

 理由として「運営マニュアルや防災計画には受け入れる旨を記載しているが、公表まで手が回っていない」「避難所の運営者が柔軟に判断するべきと考えており、自治体が事前に調整するのは難しい」などと説明する自治体もあり、認識にはばらつきが見られた。(井沢泰斗)

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