能登の被災者に届け「食の力」 1.17の炊き出しを知る飲食店主ら、豚まん提供を計画 神戸・南京町

阪神・淡路大震災後、行列ができた南京町の炊き出し=神戸市中央区栄町通1(曹英生さん提供)

 能登半島地震の被災地を元気づけようと、神戸の中華街・南京町(神戸市中央区)の飲食店主らが募金や豚まんの提供を計画している。これまでも東日本大震災や熊本地震の被災者へ、中華料理を届けてきた。阪神・淡路大震災での経験を原点に、「食の力」で北陸の復興を支援する。(劉 楓音)

 29年前の1月17日、南京町も地震で打撃を受けた。石畳はゆがみ、周辺にガス臭が立ちこめた。商店主らも避難生活を強いられた。温かい食べ物はなかった。

 「こんな時こそ、食の力で神戸の人に元気になってもらいたいと思った」。南京町商店街振興組合理事長で老舗豚まん店「老祥記」店主の曹英生さん(67)は当時を振り返る。

 商店主らはすぐに炊き出しを企画。震災から2週間後に豚まんやラーメンを振る舞った。広場には行列ができ、被災者から「熱いもの、久しぶりに食べさせてもらってうれしいわ」と声が上がった。

 震災の傷痕が生々しく、各地で行事中止が相次ぐ中、3月に「南京町復活宣言」を発表。獅子舞を披露したり、漫才イベントなどを開いたりして、神戸を盛り上げた。

 2011年の東日本大震災では、翌年の1月17日に仮設住宅などを訪れ、蒸したての豚まんを提供。熊本地震では熊本城復旧を支援するため、チャリティー販売を実施し、売り上げの全額を熊本市に寄付した。

 能登半島地震を受け、曹さんらは募金箱の設置や2月の「春節祭」で犠牲者を追悼することを決定。今後は、現地で豚まんを配ることも計画する。曹さんは「長期的に支援していきたい」と力を込めた。

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