家計簿をつけるだけじゃダメ!? 将来お金に困らない人がやっていること

筆者は中小企業の保険の取り扱いを行っていた経験から、企業と家計の管理はとても近いものがあるなと感じます。

人生100年時代と言われる昨今において、長い道のりをどのように歩むかは自分次第。これまでの家計管理をブラッシュアップしてみませんか?

「攻め」と「守り」のバランスとは?

現在、未来、緊急事態の時への「攻め」と「守り」のバランスを考えたことはありますか?

「攻め」はお金の運用(動いて増やすなど)、「守り」はリスク管理となります。

まずは普段のお金の分け方として、

・現在の生活を維持していくために必要なお金
・将来必要となるお金
・緊急(ケガや災害など)万が一の際に必要となるお金

そして、それぞれの置くところが銀行であり、証券会社であり、保険会社と考えられますね。
ニーズに沿って、適切なところに置く場所を決めるとわかりやすくなります。

更に、増やすために意識したいことは以下の3点です。

1:収入を増やす
2:支出を減らす
3:資産の利回りを高くする

このように、「攻め」と「守り」のバランスがとれていると新しい事にも挑戦してみたり、安心して前に進むことができます。

家計のバランスシートから考える家計簿の本当の意味

現在の生活を維持していくために必要なお金を把握する手段として、家計簿をつけている方も多いのではと思います。

ところで、家計簿との適切な付き合い方とはどういったものなのでしょうか。

まず、自分の負担にならない管理法を確立しましょう。ただ最低限把握しておきたいのが家計支出における、固定費(住宅費・保険料・通信費・車両費など)と変動費(食費・交際費・衣類費など)です。

そして、これらが収入に対して毎月赤字になっていないことを確認できればOKです。

もし赤字になっているのであれば、どの項目がメタボ支出になっているのかを家計簿から見直すことができます。その際には固定費から見直すのが効果的です。こういった改善を行い、毎月1円でも黒字にしていくことが家計簿をつける目的です。

ただ、家計簿では「我が家の貯蓄はどれくらいなのか?」や「住宅ローンなど負債はどれくらいあるのか?」を把握することはできません。そこで、ぜひ作っておきたいのが『家計のバランスシート』です。

預貯金や投資信託などの資産、住宅ローンなどの負債を書き出し、そして純資産に着目しましょう。

純資産とは、資産合計から負債合計を差し引いた、本当の意味での資産です。
純資産がマイナスだったり、少ないと健全な家計とは言えません。

資産と負債はライフステージに伴って変化するので、年末や年度末など時期を決めて最低でも年に1度、家計の棚おろしをすることをおすすめします。

初心者の方におすすめ「新NISA」を始めよう!

将来必要なお金を把握するためにはライフプランシートの作成がおすすめです。これを作ると、誰が、いつ、どういったことで、いくらお金がいるかを可視化できるので貯蓄計画が立てやすくなります。

そして、資産運用でとくに投資初心者におすすめしたいのは、国が用意している税制面で有利な制度はしっかり活用すること。NISA、iDeCoがそれにあたります。

預金、株式、投資信託など金融商品で得た儲け=運用収益には、税金がかかります。税率は約20%。ところが一定の範囲内でこれが非課税となるお得な制度の1つがNISAです。

NISAは、つみたてNISA、一般NISAが2024年より新NISAとして拡充され利便性が高まり、資産形成には強力な味方となってくれます。

新NISA制度は、改正前のNISA制度の弱点を補う形で拡充されています。そのためこれから投資を始める方にはおすすめです。

また、iDeCoは老後資金作りの王様とも言われているように、掛金の全額が所得控除の対象。そのため所得税と住民税が軽減されます。つまり、将来のために積み立てたお金を所得から差し引くことが出来て、税金はかからないという仕組みです。

運用によって得た収益についても非課税、60歳以降、積み立てた資産を受け取る際に、全額をまとめて受け取る場合は退職所得控除が受けられるなどの恩恵もありますが、注意したい点は、運用の目的が老後資金作りに限定されていることです。60歳までは引き出しができないこと、そして中途解約もできないということを知っておく必要があります。

比較的若い人には、老後資金の前に住宅資金や教育資金といったお金が必要になる場合が想定されます。まずは必要な資金の準備から始めて、余裕が出来たらiDeCoで老後資金の準備を始めるという優先順位をつけるとより賢くiDeCoの活用ができるでしょう。

資産を守るために必要なリスクマネジメントとは?

病気・災害への守り、万が一の保障は保険の利用方法をしっかり考えるということになります。

まず保険で備える意味についておさらいしておきましょう。不測の事態によって生じた比較的大きなマイナスを補填するという役割と、がんなどを患い収入が減ったり、ゼロになったりすることへの保障と言った資産や収入を守るという役割があります。またこれ以外にも資産形成を成功させるための役割でもあります。

投資を始める際には必ず同時にこの守りを固めることを行って頂きたいと思います。投資を継続するための環境づくりであり、つまりはリスクマネジメントです。

そして、例えば投資で失敗する大きな原因の一つが思いがけない急な出費によって投資資金を取り崩さなければならなくなることです。せっかく未来に向けて投資をしているにも関わらず、取り崩してしまうことによって振り出しに戻ってしまいます。

この急な出費の対処法では、例えば年間に発生する特別支出の概算を把握し、それ専用の預金口座を作っておくなどすると安心です。

家族構成や職種にもよりますが、年間100万円くらいは確保しておくとをおすすめします。参考までに年間特別支出に該当するものは下記のとおりです。

税金全般(市民税、自動車税、固定資産税など)、車検、お中元、お歳暮、駐輪台の年払い、年払い保険料、ふるさと納税のお金、大型家電が故障した時や冠婚葬祭など緊急予備費用

家計簿は、家計のバランスシートを健全にしていく(我が家の純資産を増やしていく)ことを目的とした重要ツールであること、また、教育費や老後資金など将来必要なお金に対して「何とかなるさ~」とならないように、ライフプランシートを活用して、先のことを「見える化」することが資産形成ではとても大切です。

2024年も始まったばかりですので、この度紹介しましたシートを一つでもご活用いただければと思います。

【執筆者プロフィール】今村 恵子(いまむら けいこ)

キッズ・マネー・ステーション認定講師 / ファイナンシャルプランナー
金融業界に勤めた経験を活かし、子どもたちが、お金について楽しく学べる講座の開催や、主に 20 代~30 代層の働くママ・これから結婚出産を考えている方、お金の悩みがある方をメインにライフプラン・キャリアプラン、家計のカウンセリング、個別相談業務を行っている。

(ハピママ*/ キッズ・マネー・ステーション)

© ぴあ朝日ネクストスコープ株式会社