2024年FIA認証取得も影響し、3月開催予定のTCRワールドランキング・ファイナルが延期。事実上の中止に

 世界各国で繁栄を見せるTCR規定ツーリングカーを運営するWSCグループは、ゴルフやテニスなど世界的な人気スポーツのランキング形式を導入し、その年間成績の戦果として、当初は2024年3月にポルトガル・ポルティマオで開催予定だった『TCRワールドランキング・ファイナル』の「再スケジュール」を発表。新たな日程に変更され、2024年から付与されるFIAタイトルも授与される運びとなった。

 この措置は、今季10月にスペインのヴァレンシアで開催される第3回の『FIAモータースポーツ・ゲームス』の存在も念頭に置かれ、すで詰め込まれた年間カレンダーで「同年度にふたつの世界的なTCR決勝戦を開催することを避ける必要性」から決断が下されたもの。これで鳴り物入りの新機軸として計画された第1回の“ワールドファイナル”は、事実上の中止となってしまった。

記念すべき第1回の『TCRワールドランキング・ファイナル』を開催予定だったポルティマオことアルガルヴェ・オートドローモ

 このニュースを発表したWSCのプレスリリースによれば、リスケジュールされたイベントは「世界的なTCRピラミッドの“カスタマードライバーのみ”を対象とし、エントリーは2024年の地域および国内TCRシリーズの競技者のみに開かれる」と記された。

 この文言は参加資格を有するドライバーの選考基準にも変更が加えられたことを意味し、これまでのルールでは昨季初年度を開催した世界戦『TCRワールドツアー』上位15名のドライバーも自動的に出場枠を獲得することになっていたが、2023年度に世界各国の地域、国内イベントに相乗りで戦った当該ドライバーたちには、新たな“ワールドファイナル”への資格がなくなることを意味する。

昨季初年度を開催した世界戦『TCRワールドツアー』上位15名のドライバーも自動的に出場枠を獲得することになっていたが、それも白紙撤回に

■主要なツーリングカーイベントを「年3回実施は意味がない」

 そのランキングに従って、ポルティマオのイベントにすでに登録していたドライバーは新しい日程に自動的にエントリーされることになるが、2023年のワールドツアー(2024年度から『FIA TCRワールドツアー』にステータス変更)で出場権を獲得したドライバーらがそのなかに含まれるかどうかは明らかになっていない。

 今後、新しい会場と日付は「今年最後の3分の1の期間」を想定してまもなく決定される予定で、優勝者はその成功を祝うべく12月のFIA授賞式に招待される予定だ。

ランキングに従って、ポルティマオのイベントにすでに登録していたドライバーは新しい日程に自動的にエントリーされることになる

「我々はこの一連の論理的要因に基づいて、日付を変更する決定を下した」と語るのは、TCR規定の生みの親でもあるWSC会長のマルチェロ・ロッティ。

「同じ年にふたつの『世界一決定戦』を開催することが明らかになったとき、スポーツの観点と競合するコンペティターの双方の観点から、それを解決するには何が最善かを検討する必要があり、最終的にイベントの開催日程を変更することが最も効果的かつ合理的であると考えた」と説明したロッティ。

「今年は(隔年開催の)FIAモータースポーツ・ゲームスも開催されるため、年に3回の主要なツーリングカーイベントを実施するのは意味がない。我々は今、FIAタイトルを伴う初のTCRファイナルの開催に全力を注ぐことができる」

「改めて、ポルトガルのASN(自動車連盟)とアルガルヴェ・オートドローモの支援に、そして我々の決定を理解し尊重してくれたことに感謝したいと思っている」

今後、新しい会場と日付は「今年最後の3分の1の期間」を想定してまもなく決定される予定だ

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