甲南医療センターの若手医師過労自死、遺族が損害賠償求め提訴へ 院長と運営法人に計2億3千万円

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 甲南医療センター(神戸市東灘区)の医師、高島晨伍さん=当時(26)=が長時間労働を原因に自殺した問題で、両親が2月2日にも、同センターの具英成院長と運営法人「甲南会」に対し、計約2億3千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴することが29日、分かった。

 高島さんは神戸大を卒業後、2020年4月から同センターに研修医として勤務。22年4月に消化器内科の専攻医に採用され、研修を続けながら診療をしていたが、同5月17日、退勤後に自宅で自殺した。

 遺族によると、亡くなる直前の高島さんは100日連続で休日がなかったという。病院側が過重労働を認識していながら業務軽減などの是正措置をとらなかったと主張している。

 西宮労働基準監督署は、自殺は長時間労働が原因だったとして、23年6月に労災認定。同年12月には、労使協定(三六協定)で定められた上限の月95時間を超える時間外労働をさせた疑いがあるとして、運営法人と具院長らを労働基準法違反の疑いで神戸地検に書類送検していた。

 高島さんの兄(32)は「弟の死に対して、病院には正面から向き合ってもらえなかった」と話す。同センターは神戸新聞社の取材に「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(竜門和諒)

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