ALS嘱託殺人の被告医師「人の求めに応じる形でのみ、人間関係を構築」精神鑑定の医師が出廷

京都地裁

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う女性から依頼され、薬物を投与して殺害したとして、嘱託殺人などの罪に問われた医師大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判の第8回公判が29日、京都地裁(川上宏裁判長)であった。大久保被告の精神鑑定を担当した医師が出廷し、被告の人となりについて、「人の求めに応じる形でのみ、人間関係を構築、維持してきた」などと述べた。

 医師は大久保被告と計8回にわたって面接。今回の鑑定は、刑事責任能力を調べるものではなく、人となりを明らかにするのが目的とされた。

 証人尋問で医師は、大久保被告の幼少期からの発達特性として、コミュニケーションが苦手で集団に適応するのが難しいことなどを挙げた。「自分は価値のない人間だとして、人に求められたら応えるというのを絶対的なルールにしてきた」と分析した。

 大久保被告は事件前、医療に紛れて殺害する方法を記したマニュアルを作成するなどしていたとされる。こうした点には、こだわりの強さや想像力の欠如といった特性が影響した可能性があるとした。

 一方、鑑定面接の際、共犯とされる元医師の山本直樹被告(46)との関係について、「腐れ縁」「面倒くさくても関係が絶てなかった」などと説明していたことも明かした。

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