自治会退会でごみステーション利用禁止に…福井の男性が提訴「市民として行政サービス受ける権利ある」 町内会側は争う姿勢「不平等生じる」

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 自治会(町内会)の退会を理由にごみステーションの利用を禁じられたのは違法だとして、福井県福井市の40代男性が、ごみステーションを利用する権利の確認と損害賠償30万円を町内会に求めて福井地裁に提訴した。町内会側は「違法性はない」と争う姿勢を示している。1月31日に第1回口頭弁論が行われる。

 訴状などによると、男性の世帯は昨年3月、町内会の運営方針に不服があり退会。他にも退会する人が出てくると困るなどとして、ごみステーションの利用を禁じられた。

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 同4月、男性はごみステーションの利用を求めて民事調停を申し立てた。町内会はごみステーションの管理費として年間3万6千円を支出しており、男性は年間の利用料として、3万6千円を町内の世帯数で割った約300円を支払うと提示。町内会側は8月、町内に住んでいないが空き家を所有する人の町内会費が年間2万2千円であることなどから2万4千円と決め、折り合いが付かず調停は成立しなかった。

 男性は自宅から18キロ以上離れた福井市クリーンセンターなどにごみを持ち込んでおり、経済的な損害として30万円を請求。「福井市民として、ごみ収集という行政サービスを受ける権利がある」としている。

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 昨年末まで町内会長を務めた男性は「これまでみんなが町内会費を支払い、美化活動などを協力してやってきたのに、低過ぎる利用料を認めれば不平等が生じる。世帯数が減っていく中、町内会の運営も難しくなる」と話した。

 福井市によると、ごみ回収は行政が担うが、ごみステーションの管理運営は町内会に委ねているという。

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