新型コロナ、県内も感染急増 昨年9月以来、1定点当たり10人超

 新型コロナウイルスの感染者が全国的に増加している。県内では15~21日、43の定点医療機関から報告された新規感染者数が466人で、1定点当たりでは昨年9月以来の10人超えとなり、1カ月前と比べて約3倍に急増している。専門家は「重症化リスクの高い高齢者などは、引き続き注意が必要」とし、適切な感染防止策を取るよう呼びかけている。

 県内では、インフルエンザと同じ「5類」移行後、昨年7月下旬から8週連続で1定点当たりの感染者数が10人を上回り、8月28日~9月3日の24.74人をピークに減少に転じた。最少時には2.12人(11月6~12日)だったが、11月から年末にかけて緩やかに増加し、今月15~21日の10.84人は前週の約1.6倍。各病院から国への報告を基にした入院者数は24日現在で100人を超えている。

 全国の感染者数も1定点当たり12.23人(15~21日)で、9週連続で増加している。オミクロン株の新変異株「JN・1」への置き換わりが懸念され、「第10波に入った」と注意を呼びかける自治体もある。

 山形大医学部付属病院感染制御部長の森兼啓太教授は、冬の感染拡大に「気温低下や空気の乾燥で、他のウイルスも含めて飛沫(ひまつ)感染が起こりやすい環境となっている」と分析する。「人の免疫との関係、ワクチンの感染予防効果といった詳細が判明していない以上、注意が必要なウイルスであることに変わりない」と語り、病院や介護施設では、引き続き感染対策を徹底する必要性を強調する。

 一方で「JN・1」は、これまでの変異株と同様に重症化率が低いとみられ、現時点では医療現場の逼迫(ひっぱく)も発生していないという。新型コロナは、過去に流行したコロナウイルスのように通常の風邪への移行段階にあるとし、「確実に感染を防ぐ方法はなく、他者にうつさないことが重要だ」と指摘する。発熱や喉の痛みなどの症状がある場合は外出を避け、やむを得ず外出する場合でもマスクを着用するなど、適切な対策を勧奨している。

© 株式会社山形新聞社