アストンマーティン、6月頃にヴァルキリーLMHのロールアウトを予定。AMR Proで先行テストを開始

 2025年のWEC世界耐久選手権・ハイパーカークラスおよび、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権・GTPクラスへの参戦を計画しているアストンマーティンは、2024年第2四半期の終わりにヴァルキリーのLMH(ル・マン・ハイパーカー)規定車両のロールアウトを目指している。

 100年を超える歴史を持つイギリスの老舗メーカーは昨年10月、ハート・オブ・レーシングとの提携を通じ、ル・マン・ハイパーカー・プログラムの復活を発表。来シーズンのWECとウェザーテック選手権の両トップカテゴリーで、ヴァルキリーのLMH仕様を走らせる予定だ。

 アストンマーティンの耐久モータースポーツ責任者であるアダム・カーターは、先週末アメリカ・フロリダ州で行われたIMSA開幕戦『ロレックス24・アット・アデイトナ(デイトナ24時間レース)』のために集まった記者団に対し、コスワース製V型12気筒NAエンジンを搭載したLMH車両の開発は「計画どおり」に進んでいると語った。

 さらに同氏は、アストンマーティンがLMH仕様のヴァルキリーを今年の第2四半期(4~6月)の“後期”にロールアウトすることを目指していると付け加えたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

ル・マン・ハイパーカー規定に沿って開発されるヴァルキリーのレーシング仕様(イメージ)

 ヴァルキリーをWECとウェザーテック選手権の両方でトップクラスに加えるための準備は、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(AMPT)に任されている。この組織では、両シリーズのホモロゲーションのために、あらかじめ定義された空力性能と動力性能の枠内に収まるように市販ハイパーカーベースの新型マシンの開発が行われている。

 その開発作業の一部には、レーシングカーのベースとなるヴァルキリーのサーキット専用仕様『ヴァルキリーAMR Pro』によるテストプログラムも含まれる。カーターは、アストンマーティンがそのプログラムを開始し、「数週間前に」シルバーストンでAMR Proを走らせたことを明らかにした。

 彼は、「信頼できるAMRチームのメンバー」がステアリングを握り、「初期のシステムテストと基本的なソフトウェア作業」に焦点を当てたと述べた。

 カーターによると、AMR Proを走らせることは開発プログラムにとってメリットがあるという。新しいプラットフォームに沿って完成したクルマをより慎重に扱うのとは対照的に、既存のAMR Proではハードにプッシュして走らせることができるからだ。

「(AMR Proについて)このプラットフォームはすでに存在し、検証プログラムもすでに終了している」とカーター。

「だから、私たちは自信をもって進むことができる。いくつかの非常に集中した目標に向かって根本的に打ち込み、強く邁進することが可能だ」

「そのため、(テストを)非常に長引かせることはなく、その目的が非常に明確になっている。我々はできるだけ早く情報を手に入れるつもりだ」

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