登校は制服にする?それとも私服?京都府宇治市の西小倉中学校、生徒たちの挑戦

自ら選んだ私服や制服で登校して来る生徒たち(京都府宇治市伊勢田町・西小倉中)

 制服か私服か、生徒が自由に選択して登校する-。そんな取り組みが、京都府宇治市伊勢田町の西小倉中であった。多様性や自主性を認め合う学校づくりが狙いで、生徒会が中心になって実現させた。今後生徒の意見を集め、2026年春に同校で開校する小中一貫校の服装の参考にもするという。

 同市内の全ての中学校には制服がある。同校では「魅力的な学校」をテーマにした課題解決型の授業で、性的マイノリティーや不登校などさまざまな背景を持つ生徒が自分らしく生活できるようにするため、服装の選択制を導入しようと生徒から提案があった。

 これを受け、生徒会が昨年11月以降、「嫌なことは言わない」「TPO(時、場所、場合)に応じた服装を選択する」といったルールなどを決めた。今月16日の全校集会で発表し、「『セル服』ウィーク」と題して23~25日の3日間限定で取り組むことを呼びかけた。

 「おはようございます」。初日の23日、生徒会役員の1、2年生6人が校舎前であいさつする中、登校してきた生徒たちは制服、体操服、私服とさまざまな姿で現れた。

 私服を選んだ1年山口瑠依さん(13)は「普段は私服で学校に来ることがないので、どんな気持ちなのか体験してみたかった」と話した。

 一方、制服姿の3年中務佑一朗さん(15)は「学校に行く時、気持ちの切り替えのスイッチになる」との理由で選んだという。中には「おしゃれな私服を持っていないので、制服の方が安心」という生徒もいた。

 同校によると、初日は4割程度が私服だったという。上田智子校長は「思った以上に私服を選ぶ生徒が多くて驚いた。取り組みを通し、自分の考えで判断する力を身に付けてほしい」と期待する。生徒会長の2年小林晴信さん(13)は「いろいろな人がいることを認め合える学校を目指したい」と語った。

 同校は2年後に周辺の3小学校と統合し、小中一貫校となる。服装のあり方については25年夏までに決める見通しで、市教委は「生徒の声を参考にして、議論の方法から考えていきたい」としている。

 

服装を自由に選択する取り組み「『セル服』ウイーク」を呼びかける西小倉中生徒会のポスター

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