知事「液状化の調査急ぐ」 内灘、かほくの現場視察

内灘町の液状化の被害を視察する馳知事(左から3人目)=30日午前9時40分、同町西荒屋

 石川県の馳浩知事は30日、能登半島地震による液状化の被害が深刻な内灘町、かほく市を視察した。馳知事は「まずは液状化の調査、分析が大事だ。綿密に調べた上で対策を進めたい」と述べ、調査を急ぐ考えを示した。

 内灘町では鶴ケ丘や向粟崎、西荒屋地区の被災現場を見て回り、川口克則町長らから説明を受けた。避難所となっている町展望温泉「ほのぼの湯」、町サイクリングターミナルも訪れ、避難者からは「仮設住宅を早く建設してほしい」との声が上がった。

 馳知事は仮設住宅を早急に用意すると強調した。さらに液状化で上下水道の配水管がズタズタに損壊しているとし、上下水道一体で復旧させる方針を示した。かほく市では、液状化の被害を受けた大崎地区などに足を運んだ。

  ●約630戸が断水

 内灘町では約40世帯83人が避難生活を送っている。630戸(29日時点)が断水し、復旧はまだ先だ。無職中居俊邦さん(67)は「昔からこの辺りは液状化が起きると聞いていたが、こんなのは初めて」と声を落とした。

 町担当者は「金沢市に近いので物資は届きやすいが、人的支援が(地震の被害が大きかった)輪島市や珠洲市に集中し、マンパワーが足りない」と訴える。

 

 ★液状化現象 水分を多く含んだ砂質の地盤が、地震による強い揺れで液体のように流動化する現象。地表に水や砂が噴出したり、地盤が沈下したりする。土管やマンホールが浮き上がることもある。埋め立て地や干拓地など、緩い砂質で地下水位が高い場所で起こりやすい。条件を満たせば内陸でも発生する。1964年の新潟地震では橋や鉄筋コンクリートの建物といった大型構造物が崩れ、対策工法の開発が進むきっかけになった。

  ●建物沈下以外に横滑りも

 金大の塚脇真二教授(地質学) 能登半島地震を受け、内灘町を複数回視察した。建物が沈むだけでなく、横に動いている。下層の砂の液状化で表面のアスファルトが浮き、水平に滑ったのが特徴だ。路面が曲がったり、家が傾いたりしている。ブロック塀もかなり倒れており、人が亡くならなかったのは運が良かった。日本海側は地形的に潟や砂丘ができやすい。今後、同じ場所で住み続けるにはボーリングで地質を調査し、安全性を確かめるなど対策が必要だ。

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