穴水町の山あいにある木原地区で、石本文夫さん(71)がただ1人残り自宅で生活を続けている。地区には15世帯が暮らしていたが、他の住民が町外に移った。石本さんは「生まれ育った木原を離れたくない」と集落が元の姿に戻る日を待っている。
石本さんによると、木原地区の住民はほとんどが70代以上で1人暮らし。建物に大きな被害はなかったが、故障した簡易水道の復旧にめどが立っていない。土砂崩れを心配する声もあり、石本さんを除く住民は17日までに南加賀のホテル、旅館に設けられた2次避難所、金沢などにいる親族宅に身を寄せた。
1人暮らしの石本さんは、他の住民が集落を離れたのに合わせ、避難していた木原集会所から自宅に戻った。停電しておらず、井戸水を使って生活している。
町によると29日時点で計41人が加賀や小松に2次避難している。石本さんは「木原に誰もいなくなるのは寂しい。いつかは帰ってきてほしい」と語った。