コロナ後で進む多様化社会 男性向けコンテンツの開拓で訪韓日本人300万人突破へ

訪韓日本人は200万人を超えるまで回復

2023年1~12月の訪韓日本人数は、2019年の約64.8%にあたる212万560人となりました。新型コロナウイルスの収束と水際対策の緩和による影響もあり、渡航者数は順調に回復しています。

一方、訪日韓国人数は円安の影響もあり、訪韓日本人数以上に急激な回復を見せています。2023年では、韓国のお盆と呼ばれる秋夕(チュソク、2023年は9月28日~10月1日)の時期においても、多くの韓国人が日本に訪れていました。現在は、平日で平均値が5,000人から8,000人、週末は1万人から多い時で2万人の韓国人が日本を訪れています。おう盛な需要が続けば、2024年にも2018年のピーク時(753万9千人)の水準まで回復するでしょう。訪韓日本人数についても、過去最高は2012年の341万8千人ですが、2024年は300万人を超えることを期待しています。

両国における渡航者数の割合は、7対3から8対2で訪日韓国人が訪韓日本人を上回っています。現在、予約形態は個人は航空がLCC、宿泊はOTAで予約する流れが主流です。韓国からの個人旅行は増加の一方であり、札幌といった人気の観光地に向かう便では、旅行会社がセールスとして販売できる座席がない状況となっています。その影響は、訪韓においても影響が出ています。ある旅行会社の札幌支店では、韓国へのツアーを作りたいが、座席がなくて作れない状況にあると言います。12月からは2月にかけて、韓国では冬休みに入っていますが、旅行需要は止まることを見せていません。航空便数の増加による対応が急務であり、座席数の確保のためには航空会社など関連業界の幅広い努力が必要です。

今後は、個人旅行だけでなく修学旅行を含めた団体旅行の回復も必要です。韓日関係が良くなり、日本の10代で韓国が好きな人は多く、このような興味関心を持つ人には、ぜひ韓国で本場の魅力を体感してもらいたいです。円安の影響で海外旅行を辞めようかと悩む声も聞こえますが、海外他国と比べても韓国はまだ費用における値ごろ感があります。また、日本国内と比べても、沖縄をはじめとした観光地の宿泊費が高騰しています。われわれとしても、旅行会社など訪韓旅行を考える人たちに後押しする施策の展開を進めていきます。

日本人男性向けに見る韓流から「体験する韓流」へ

日本人若年層における訪韓者は、入国者統計を見ても他の市場と比べて20、30代の女性が圧倒的に多いです。われわれが独自に行う統計においても、20、30代の女性が多く、全体の35%を占めています。日本国内でも、韓国はすごく若い女性が訪れる場所というイメージが根付いています。

韓国旅行ではグルメの人気が高く、年齢性別関係なく第1の目的となっています。目的は多様化しており、カフェ、買い物、韓流、K-POP、美容なども人気です。われわれは旅の目的の多様化に対し、2024年以降はターゲットの多様化への取り組みを進めます。特に、韓流の影響を受けている20、30代の男性や中年男性は、これまでに狙っていなかったところであり、男性に向けたコンテンツの発掘やPRを展開していきます。早速、2023年末には韓国観光公社本社では男子向けのガイドブックを発行しています。

男性による韓国旅行の行き先については、例えば同じ買い物であっても、BTSがスーツを買った店など男性向けのショッピングカテゴリーのほか、ミリタリー体験への興味関心が高いことから射撃場、韓国でも「孤独のグルメ」の撮影が行われていますが、路地裏での飲み歩き体験といったコンテンツを前面に出していきます。現在も新たなガイドブックの発行やキャンペーンの展開などを検討しています。コロナ禍では、自宅で韓流や韓国文化を見て楽しんでいた男性が、次は実際に現地で体験していただきたいです。

日本人からは、韓国は女性が行く場所と思われがちでしたが、カップルや男性グループででも楽しめる韓国をこれまで以上に訴求してきます。男性向けの観光コンテンツは、韓国観光公社の公式サイト「Visit Korea」()でも充実させていきますので、ぜひご覧ください。

寄稿者 韓国観光公社 東京支社

韓国 釜山 甘川文化村の風景

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