日経平均がバブル崩壊後の高値更新! 急上昇の要因は【新NISA】?

能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故と波乱の幕開けとなった2024年。ところが株式相場はそうした重苦しい雰囲気を吹き飛ばすような年初からの急上昇を演じました。日経平均は次々と大台替わりを果たし、ついに3万7000円の大台に迫る場面もありました。もちろんバブル崩壊後の高値更新です。ここまでの強い相場を誰がいったい想像したでしょうか。


相場上昇、2024年ならではの背景とは?

相場上昇の背景はいくつかあります。前から述べている通り、マクロ環境としてはデフレからインフレ経済への転換という大きな構図があります。そして日本企業の経営改革の動きが加速してきました。東証の要請もあって資本コストや株価を意識した経営に取り組む企業が増えました。PBR(株価純資産倍率)を上げるためにROE(自己資本利益率)を向上させようという機運も高まり、いたずらに抱えていた現金で配当を増やしたり自社株買いに充てたりしています。

これらが日本株の再評価につながっているのは間違いないでしょう。しかし、それらは2023年に日経平均が3割弱の上昇を見せた段階ですでに要因としてあったものです。年初からの急上昇には、さらなる理由があると思われます。

年が明けた途端にこれだけの上昇を見せたということは、「今年ならでは」の材料があるのでしょう。思うにそれは新しいNISA制度がスタートしたということではないでしょうか。いや、新NISAの資金が日本株を買い上げているというのではありません。実際、NISAではS&P500や全世界株式を対象とファンドが人気になっています。だから日本株市場にはNISAの資金はまだそれほど多く流入しているわけではないでしょう。では新NISAのスタートと日本株の急騰はどう結びつくのでしょうか。筆者の考えでは、投資家は新NISAに象徴される日本の金融資本市場の「劇的な変化」(あるいはそのポテンシャル)を買っているのだと思います。

日本の個人金融資産2000兆円が日本株に向かうか

三菱UFJアセットマネジメントが運用する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の資金流入額が、1月9日に1000億円を超えたというニュースがありました。2023年12月の推計の月間流入額(1088億円)と同程度の資金がたった1日で流入したというのです。すさまじい購買力に、きっと誰もが驚いたことでしょう。

S&P500や全世界株式が個人投資家に人気なのは過去のパフォーマンスが良かったからです。ところが最近では日本株のパフォーマンスも引けをとらないことが投資家の間で認知されつつあります。今がかなりの円安水準であることを考えると、ここから為替リスクを伴う海外投資に足踏みする個人投資家もいるでしょう。

そうであれば、為替リスクがなく、欧米株にもパフォーマンスで引けをとらない日本株が見直される日が来て、いずれ日本株にも資金が流入するでしょう。日本の個人金融資産の総額2000兆円を考えれば、そのわずかな比率でも日本株に向かえばとてつもない押し上げ効果を発揮します。そのポテンシャルを考慮した先回り買いが起きているのだろうと思うのです。

日本人が自国の株を買うかどうかが見られている

この株高を演出したのは例によって海外投資家です。1月第3週(15〜19日)まで買い越しは年初から3週連続で、累計は約1兆5000億円と急ピッチな株高局面にあった2023年春並みのペースです。しかし、そろそろ、この買いも一巡するころでしょう。昨年春を外国人買いの第一幕、そして今回を第二幕とすれば第三幕が始まるのはいつでしょうか? それは、ここまで6週連続で売り越しの個人投資家が買い越しに転じたのを確認したあとになると思われます。

2023年の秋、北米に出張した際に会った海外投資家はみな口をそろえて言いました。「日本人は我々、外国人が日本株を買うかどうか気にするが、我々が知りたいのは日本人自身が自国の株を買うかどうかだ。日本人が日本株を買うのを見たい」と。

個人投資家のみなさん、安心して日本株を買ってください。みなさんの買いを見た海外投資家がまたさらに買ってくれるはずですから。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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