「耶馬渓橋」24年度中に復旧完了の見通し 昨年7月の大雨で高欄など損壊【大分県】

昨年7月の大雨で、高欄が流失した耶馬渓橋。今も通行止めが続く=中津市本耶馬渓町
昨年7月の大雨で、高欄が流失した耶馬渓橋。今も通行止めが続く
昨年7月の大雨で、高欄が流失した耶馬渓橋。今も通行止めが続く

 【中津】中津市は、国指定重要文化財で昨年7月の大雨で高欄などが損壊した同市本耶馬渓町の石橋「耶馬渓橋」(116メートル)の復旧が、2024年度中に完了する見通しであることを明らかにした。同橋は過去にも大規模水害で被害に遭っており、被害を軽減する方策も検討している。

 昨年7月の大雨で耶馬渓橋の下を流れる山国川が、高欄を越える高さまで増水。高欄に引っかかった流木に水圧がかかり、高欄自体が倒れて流された。

 市によると、高欄は橋の両側を合わせた総延長239.7メートルの6割近い135.5メートルが流失。通行者の足元を照らす発光ダイオード(LED)照明は、54カ所中8カ所が壊れた。橋脚などに被害はなく、損害額は約5千万円。被災以降、通行止めが続く。

 復旧は被災前の原形に戻す方針で、市は文化庁と協議を続けている。早ければ7月に着工し、来年3月末までに完成する見通し。高欄には、原形と同じ凝灰岩の石材を使う方向で調整している。

 高欄は12年7月の大分県豪雨でも同様に損壊しており、被害の軽減策が課題になっている。市は、高欄が連なって倒れるのを防ぐため、強い水圧がかかった箇所だけが倒れるよう連結強度を下げることを検討。一方で同橋は車道でもあり、高欄には自動車の転落を防ぐ強度が必要だというジレンマを抱える。

 石材は天然素材であるため、前回の復旧に使った凝灰岩と同質の物が調達できなければ、色合いが変わる可能性もあるという。

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