いっしょの時間

 〈35歳の男性会社員、既婚で3歳の息子がいる。息子の夢は「お巡りさんになりたい」。週末は一緒に遊んだり、お風呂に入れたりして過ごす〉…この2人が一緒にいられる時間の試算結果は「48日と17時間」らしい▲外資系の生命保険会社が運営する「いっしょの時間」というウェブサイトがある。父母や配偶者、子や孫など“大切な人”と自分の年齢をまず入力し、日ごろの接点や親密度を問ういくつかの項目に答えると、相手と自分が向き合って過ごせる残り時間が表示される▲冒頭に記したのは筆者が創作したモデルケース。興味のある皆さんはぜひ試してほしい。示される時間は想像以上に短い。きっと回答内容を微妙に修正して再トライしたくなるはずだ▲ただでさえ貴重な時間は突然の災害や凶悪な犯罪によって不意に絶ち切られる。能登の地震や放火殺人の裁判でその悲しさを繰り返し実感させられた2024年の1月だった▲1月31日は、日付の「1」を英字の「I」に見立て、31を「サイ」と読ませて「愛妻の日」なのだという。これも数字の語呂合わせで「8時9分にハグを」という呼びかけもどこかで目にした▲記念日が“既婚者限定”であることや「愛妻」の対義語が容易に見つからないことの議論はひとまず措(お)く。どうぞ大切な時間を。(智)

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