「無免許知ってた」友人にミニバイク貸与疑い、男子大学生を書類送検 学内で貸し借り横行? 「軽い気持ちで…」

友人に借りたミニバイクで無免許運転をした疑いで、大学生が逮捕された現場付近の道路=三木市内(写真と本文は関係ありません)

 兵庫県警三木署は昨年11月、無免許運転の疑いで三木市内の男子大学生を逮捕した。免許取得歴はなく、乗っていたミニバイクは友人のものだった。学生が無免許と知りながらミニバイクを貸したとして、同署は道交法違反(車両提供)の疑いで、学生の友人を書類送検した(今月18日付)。「軽い気持ちだろうが、無免許運転や車両の貸し借りが横行している」と三木署。同署への取材から、学生たちの実情を探った。(小西隆久)

 昨年11月20日午前10時半ごろ、三木市内の市道を1台のミニバイクが走っていた。乗っていたのは市内の男子大学生A=当時(19)。大学の授業に遅れそうなのか、スピードが少し出過ぎている。付近を通りかかったパトカーの三木署員が気付き、停止を求めた。

 学生は止められた理由が分からないようで、そわそわしている。免許証の提示を求めた三木署員に、Aは「ありません」。調べると、ミニバイクはAのものではなかった。「盗んだものかもしれない」。同署はAを無免許運転の疑いで現行犯逮捕した(今月18日付で書類送検済み)。

 調べたところ、バイクの持ち主はAと同じ大学に通う市内の大学生B=当時(19)。交流サイト(SNS)での2人のやりとりによると、Aは昨年7月下旬からBにミニバイクを借りて乗り始めたようだ。

 調べに、Bは当初「(Aが)免許を持っていると思っていた」と話したが、最終的に「無免許と知っていた」と供述。SNSでBが「鍵、(いつもの所に)置いとくで」と送り、Aが「ええの?」と答えるなど、常習性も疑われたという。

 その後の調べで、BがAに対し「自転車と同じ感覚。一時停止さえ守っていれば大丈夫」とアドバイスしていたことも判明した。

 道交法では、無免許の人に車両を提供すると無免許運転を手助けしたとされ、懲役3年以下もしくは罰金50万円。無免許運転者と同じく、所持している免許も取り消しとなる。

 「親には友だちに貸すなと言われていた」「軽い気持ちだった」などと話し、反省の弁も口にしたB。一方で、三木署は同時期、同じように友人のミニバイクに乗って無免許運転した疑いで同じ部活の別の学生を逮捕した(現在は釈放済み)。同署は「同じ部活の中で繰り返されていた可能性もある」といい、大学関係者に学生の指導を徹底するよう求めた。

 黒田康裕交通課長は「無免許運転で事故を起こせば、運転者も提供者も罪は重くなる。そんなことで将来を棒に振ってはならない」と警告する。

© 株式会社神戸新聞社