麗しく情熱的に ピアニスト・五条院凌さん、「お古里」青森県弘前市で凱旋公演

演奏後、客席に向かってポーズをとる五条院さん。ステージ上には大小さまざまなバラのオブジェが置かれていた

 ゴージャスな服装と情熱的な演奏で人気を集める青森県弘前市出身のピアニスト五条院凌(りょう)さん(本名や年齢は非公表)は28日、故郷で凱旋(がいせん)公演を行った。県内外から集まった約600人が迫力の演奏に聞き入った。

 「お魂(たましい)のふるさと、お弘前のお方々、ご機嫌麗しゅう」。黒地に金雲の模様が描かれた着物を着た五条院さんがお決まりの上品なお言葉であいさつすると、弘前市民会館大ホールに拍手と歓声が響いた。

 五条院さんは弘前市内の小中学校を卒業し都内の高校に進学。音楽大学を経て2021年に現在の五条院凌として「覚醒」した。22年10月に出演した芸能界のピアノ日本一を競うフジテレビ系番組「テッペン」で優勝し、全国に名をとどろかせた。動画投稿アプリTikTok(ティックトック)のフォロワー(閲覧登録者数)は1月末時点で26万人を超える。

 2時間の公演でJポップやクラシックのカバー、自身のオリジナル曲を弾いた。歌手Adoの「唱」「うっせえわ」などのメドレーでは、胸に響くような音圧と、ピアノコンサートとは思えないほどのスポットライトの演出に観客はどんどん引き込まれた。曲に合わせ手拍子が起こると、五条院さんは「お熱(あつ)なお手拍子、メルシー(ありがとう)ございます」と応じた。

 アンコール曲を弾き終えても席を立つ人はおらず、五条院さんはうれし涙を流しながら急きょ3曲を披露した。終了予定時間を30分オーバーする「想定以上」(関係者)の盛り上がりとなった。

 青森市から演奏を聴きに来た坂本璃子さん(14)は「音の圧がすごかった。五条院さんのようにアップテンポな曲をかっこよく弾けるようになりたい」と目を輝かせた。

 五条院さんは取材に対し「皆さまがお母親のように演奏を見守ってくださっていたのが分かりました。こうして胸を張ってお弘前に帰ってくることができてうれしいです」と充実の表情を見せた。

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