隣で夜間訓練「子どもたちは恐怖を感じる」 うるま市に陸自訓練場計画 「県立石川青少年の家」所長が訴え

「子どもたちがナイトウオークをするすぐ先に、訓練場建設が予定されている」と危惧する県立石川青少年の家の石原昌二所長=30日、うるま市石川

 沖縄県うるま市石川のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を新設する防衛省の計画について、同跡地に隣接する「県立石川青少年の家」の石原昌二所長(66)が30日、本紙の取材に応じ、教育と自然環境の二つの観点から「建設計画に断固反対する」と訴えた。自衛隊の訓練場が新設されれば、子どもたちが寝泊まりする宿泊棟との距離は約60メートルしか離れていない。「目と鼻の先の場所で夜間訓練が行われれば、子どもたちは恐怖を感じる。騒音と振動で眠れなくなる」と怒りをあらわにした。(中部報道部・又吉朝香)

 県立石川青少年の家は1975年に開所して以来、宿泊体験や環境学習の場として小学生を中心に年間4万人以上の利用者が訪れ、キャンプファイヤー、ナイトウオークラリーなど自然を満喫できる施設だ。県の天然記念物で絶滅危惧種の「イボイモリ」や「クロイワトカゲモドキ」が生息しているほか、5月下旬から11月上旬にかけてはホタルが見られる。

 年間スケジュールのほとんどは学校からの団体予約で埋まっているという施設のすぐそばに、陸自は自衛隊ヘリの離着陸や空包射撃、夜間戦闘などを行う訓練場を計画している。

 石原所長は「ヘリの離着陸時や射撃演習に伴う騒音と振動に、子どもたちは恐怖を感じるだろう。生き物も生息できる環境ではなくなってしまう」と危惧する。

 石原所長は訓練地を抱える地元・旭区の評議員のメンバーの一人でもある。本紙報道で建設計画を初めて知り「誰が決めたんだ。許せない」と怒りが込み上げたという。旭区は14日に臨時総会を開き、建設反対の決議を全会一致で決めた。うるま市と沖縄防衛局に対し、訓練場の建設計画の撤回を求める意見書を提出している。

 一方、30日時点で賛否を示していない中村正人うるま市長に対し、石原所長は「旭区としては意見書を出している。市も区と一緒になって反対してほしい」と強く求めた。

防衛省が計画する新規取得予定地

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