「事実の隠蔽」「根本的には教職員の人権意識が…」教育長が苦言 止まらぬ不祥事 目立つ性暴力 初動対応マニュアル策定へ=静岡県教委

止まらない静岡県内の教職員の不祥事にどう対処するのでしょうか。2023年度、すでに18件の懲戒処分が発表される異常事態に、静岡県教育委員会は1月31日、臨時の校長会を開き、教職員の管理監督を徹底するよう求めました。

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<静岡県教育委員会 池上重弘教育長>
「懲戒処分は極めて遺憾であり、県民のみなさま信頼を大きく損ねる事態です。管理監督者としての責務を果たすようあらためて求めます」

県教委は29日、6人の懲戒処分を発表しました。県立高校の30代の男性実習助手は2019年から2020年にかけて2人の女子生徒にわいせつ行為を行い、免職処分に。さらに、県立高校の校長はわいせつ行為の可能性について報告を受けたにもかかわらず「確証が持てない噂」と放置し、減給処分を受けました。

そのほか、中学校のサッカー部顧問の男性教諭の体罰や威圧的指導など考えられない不祥事は後を絶ちません。中でも、池上教育長が問題視したのは実習助手によるわいせつ行為について報告を放置した校長の対応です。

<静岡県教育委員会 池上重弘教育長>
「(わいせつ行為に関する報告の)内容を信ぴょう性が低い噂にすぎないとして自己判断で処理し、事実確認行為を怠り、事案への対応を放置したまま、県教育委員会へ報告しませんでした。事実の隠蔽と捉えられかねない過失であり、管理監督者として著しく不適正」

池上教育長は性暴力は子どもたちに重大な影響を与えるとして教職員が被害を認知したときの初動対応マニュアルを策定すると表明しました。

<静岡県教育委員会 池上重弘教育長>
「まず、根本的には教職員の人権意識の向上。今回の(実習助手のわいせつの)件については、やはり大きな大きな心の傷を残したということ。そしてそのことがその時点のみならず、いまに至っても数年たっても被害者の心の中に大きく残っている」

性暴力に対する初動対応マニュアルは「2024年度中には学校に配布したい」としています。

静岡県内では教職員による不祥事が止まらず、2023年度の懲戒処分件数は18件。2か月を残してすでに2022年度の14件を上回っています。そのうち、8件は性暴力の事案でした。

教職員による性加害を防ぐ仕組みについて、県教委に提言を続けてきた静岡大学の白井千晶教授は「外部の専門家が素早く支援に入る仕組みが不可欠。被害や加害を見つけたら助けを求めるためにも、子どもの人権教育を一層充実させてほしい」と話しています。

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