【インド】キッコーマン、ダークソイソースを2月初投入[食品]

キッコーマンが2月に発売する、しょうゆの一種「ダークソイソース」(同社提供)

キッコーマンのインド子会社キッコーマン・インディアは1月31日、しょうゆの一種「ダークソイソース」を発売すると発表した。色は黒に近く、インド式中華向け商品。販売先はレストランやホテルなど外食業者を主に想定し、2月に発売する。インドでは、中華系料理は色が濃いほど「おいしい」と考える人が多く、外食でも家庭でもダークソイソースが好まれている。キッコーマンがダークソイソースを発売するのは他国を含めて今回が初めて。4年かけて日本で開発した。生産はインドの食品加工会社に委託する。

キッコーマンによると、今回の商品は、日本から輸入した同社の本醸造しょうゆをベースに、インドの委託先工場で糖類などを加えて造る。キッコーマンの技術を生かし、インド人が好む濃く深みがある色を実現した。他社製品と異なり、カラメル色素やうま味調味料、防腐剤は使っていない。440グラム入り(210ルピー=約370円)と900グラム入り(410ルピー)の2種類がある。

日本でおなじみの「本醸造しょうゆ」は、大豆と小麦、塩、水で造り、色は赤みがかかった茶色。料理に味を付けるために使われる。一方、ダークソイソースは料理の色を濃くするために主に使われ、他社製は着色料を含んでいるケースも少なくない。「インド人は、炒め物をはじめ、中華系料理の見た目は黒色に近い方が『おいしい』と感じる人が多い」(キッコーマン担当者)。

インドは近年、外食産業が成長しており、中でも焼きそばなどインド式中華の人気が高まっている。レストランはもちろん、路上屋台でも楽しむ人が多い。キッコーマンは今回、「天然由来」にこだわったダークソイソースを投入し、他社製と差別化を図る。

インドのダークソイソース市場は現在、業者向けは香港企業、家庭向けは地場企業が高いシェアを持っている。キッコーマンはまず、西部ムンバイや北部デリー、南部ベンガルール(バンガロール)の業者向け市場から攻め入り、他社シェアを切り崩す。認知度が一定程度高まったタイミングで家庭市場向け商品の投入を検討する。

業者向け市場で認知度を上げる方法としては、日頃の営業活動に加え、キッコーマン商品への理解を深めるセミナーやカンファレンス、同社商品を使った料理コンテストを積極的に実施する。

■日本の「本醸造しょうゆ」も輸入販売中

キッコーマンは2020年9月、キッコーマン・インディアを設立。21年2月にインド市場参入を正式発表した。

現在、飲食店や高級ホテルなどBtoB(企業間取引)向けを中心に、日本の自社グループ工場から輸入した本醸造しょうゆを販売している。今後、料理によっては、本醸造しょうゆとダークソイソース併用および併用する際のさじ加減をアドバイスしていく。

キッコーマンの23年3月期の売上高は6,188億円。海外しょうゆ事業の売上高は1,207億円で、地域別構成比は北米が66%、欧州が18%、アジア・オセアニアが15%。

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