女子生徒は女性医師が、男子生徒は男性医師が診察する-。兵庫県加古川市立中学校の内科の定期健康診断は、2024年度から同性の医師が担当することになった。全中学生を対象にしたアンケートで女子生徒の大半が希望したことから、同市教育委員会と加古川医師会が実現に向け調整していた。思春期の子どもの気持ちに配慮して、22年度からはブラジャー着用を認めており、さらに取り組みを進める。(斉藤正志)
内科健診は毎年4~6月に各校であり、内科校医が担当する。聴診器を胸に当てて心音を確認し、目視で皮膚疾患や背骨のゆがみの有無などを確かめる。
同市立小中学校では、かつて着衣を認めず、ついたてを置いたりカーテンで囲ったりする形で、主に女子児童、生徒の心情に配慮していた。
しかし、男性医師の前で服を脱ぐことに抵抗のある子どもがいたことから、22年度から、健診に支障がない範囲で、下着を着用できるようにした。背骨や肩甲骨が見えにくいスポーツブラは認めていない。
市教委は23年2月、中学生約7千人と小学4~6年生約7100人を対象にアンケートを実施(回答率は中学生69%、小学生70%)。その結果、女子生徒の52%、女子児童の32%が、下着を着けて診察を受けていた。
さらに今後の希望を聞いたところ、女子生徒の88%、女子児童の81%が同性の医師による健診を希望したという。
これを受け、市教委は加古川医師会と協議。女性医師の確保にめどが立ったことから、昨年10月に、中学校については同性の医師が担当することを決めた。
生徒801人以上の中学校は、内科校医を男性と女性とし、計2人を配置。同800人以下は内科校医1人のほか、健診協力医として、内科校医とは異なる性別の1人を置く。
市教委学務課の担当者は「異性による健診が心理的な負担になっている生徒がいることに配慮した。できるだけ子どもの気持ちに寄り添いながら、正しい診断ができるようにしたい」としている。
一方、小学校については、女性医師の確保が難しく、実現の見通しは立っていないという。
文部科学省は1月22日、健診に支障のない範囲で、原則、体操服や下着を着用することとする通知を、各都道府県の教育委員会に出している。