別府市で「くらしの中の竹工芸展」始まる 長谷川さんがグランプリ【大分県】

独自の技法を用いた作品「眼差し03」でグランプリを獲得した長谷川絢さん=30日、別府市竹細工伝統産業会館
長谷川さんの「眼差し03」
109点の力作が並ぶ

 【別府】第60回くらしの中の竹工芸展が30日、別府市東荘園の市竹細工伝統産業会館で始まった。節目の年を迎えた記念として創設した最高賞のグランプリに、竹田市の美術家長谷川絢さん(37)の作品が選ばれた。

 竹・ルネサンス実行委員会(岩尾一郎会長)の主催。竹工芸の振興と技術の継承を目的に1964年に始まり、優れた作品を表彰している。本年度は、県内外から計109点が集まった。2月18日まで。

 グランプリを獲得した長谷川さんの作品は「眼差し03(まなざし・さん)」。伝統技法「束ね編み」を独自に発展させた「筒束ね編み」を用いた彫刻作品を制作した。クロチクの竹ひごを12本一束にして立体的に編み込んでいる。「自意識と他意識の違いについて自分なりに考え、たどり着いた答えを表現した」

 長谷川さんは神奈川県出身。高校卒業後、京都伝統工芸大学校に進学し竹工芸を学んだ。竹工芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の故勝城蒼鳳の作品に感銘を受けたことをきっかけに、2007年から本格的に創作を始めた。14年に地域おこし協力隊員として竹田市へ。退任後は作業場を設けて制作活動を続けている。受賞について「作品を評価してもらえてうれしい」と喜んだ。

 展示会はこれまで県内在住者に限っていたが、本年度は全国から作品を募った。第60回記念賞として、竹工芸作品を多く所蔵するギャラリー「タイ・モダン」(米国)のマーゴ・トーマ氏から支援を受けた「マーゴ・トーマ賞」も設けた。

 見学には入館料が必要。高校生以上390円、小中学生130円。開館は午前8時半から午後5時(月曜日は休館)。

 その他の受賞者は次の通り。

 ▽県知事賞 米沢二郎▽別府市長賞 大谷健一▽別府竹製品協同組合理事長賞 小串照彦▽別府竹製品卸商業組合理事長賞 清水貴之▽大分みらい信用金庫理事長賞 藤元美月▽別府市議会議長賞 大谷良三▽別府商工会議所会頭賞 一木律子▽別府市観光協会会長賞 池田義弘▽大分合同新聞社長賞 吉田草史▽マーゴ・トーマ賞 後藤哲律

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