加藤竜祥衆院議員、派閥指示に従ったと釈明 地元島原半島で落胆と批判の声 

 自民党安倍派のパーティー裏金問題を巡り、国土交通政務官などの役職を退いた加藤竜祥衆院議員(43)=長崎2区、1期目=は31日、キックバック(還流)の政治資金収支報告書不記載について「(自身の)会計責任者が派閥から記載する必要がないと説明を受けた。指示に従った」と釈明した。地元には「まだ中央で働いてほしかった」と惜しむ支援者がいる一方、加藤氏自らが「(裏金問題に)関係していない」と還流受領を否定していたため、その対応を批判する声も上がった。
 加藤氏は会見せず、コメントを発表した。それによると、1月5日に安倍派から連絡を受け、自ら代表を務める政治団体、党県第二選挙区支部の会計を調査。2022年に同派から受け取った10万円を収支報告書に記載していないと把握した-としている。事務所で全額保管していたという。
 加藤氏は「裏金をつくる意図はなかった」と釈明した上で「政治不信を招いた」と陳謝。一方で「職責を果たす」として議員を続ける考えを示した。
 地元島原半島の支援者は落胆。後援会の柴田英徳会長は「年明けのあいさつに来た時には、辞任なんて話はなかったのだが…」と肩を落とし、「引き続き地域のために頑張ってほしい」と述べた。
 加藤氏は昨年12月、取材に対し、還流金の受け取りを否定。安倍派議員の多くが政務三役を交代させられる中、留任していた。
 自民を長年支持する島原市の農業男性(58)は「あれだけ否定していたのに。未熟だ。有権者に本人がきちんと説明を」と苦言を呈した。党県連の前田哲也幹事長は「事実であれば大変残念」。2区のある党市議は「辞任は当然」とし、党本部に対し「小手先ではなく、大改革をやってほしい。このままでは有権者の自民離れが進む」と危機感をあらわにした。

◎還流 父寛治氏も 26万円不記載
 自民党安倍派の政治資金パーティー裏金問題に絡み、本県選出の同党衆院議員だった加藤寛治元農林水産副大臣(77)が代表を務めていた当時の政治団体が、過去5年間で派閥から計26万円の還流を受けながら政治資金収支報告書に記載していなかったことが31日、分かった。
 寛治氏は加藤竜祥国土交通兼内閣府兼復興政務官(衆院長崎2区)の父。既に収支報告書を訂正した。
 不記載があった政治団体は同党県第二選挙区支部。同支部の会計責任者などによると、細田派(安倍派の前身)に所属していた寛治氏は3期目の2021年衆院選を機に引退し、竜祥氏に政治団体を引き継いだ。派閥の指摘を受け、過去5年間の会計を調べた結果、21年に16万円、20年に10万円の還流金が不記載だったことが判明。還流金は使わず保管しているという。
 寛治氏は長崎新聞の取材に「(還流金は)秘書が管理しており、知らなかった。(不記載の)手違いがあったことは県民、国民の皆さんに申し訳ない」と話している。

© 株式会社長崎新聞社