ルクレールもノリスも“複数年”なぜF1チームは隠したがる。ドライバーとの契約年数を公にしない理由

 フェラーリがシャルル・ルクレールと交わしていた2024年末までの契約を延長したことと、マクラーレンが2025年末までとなっていたランド・ノリスとの契約をやはり延長したことについて両チームはそれぞれ先月に正式発表を行ったが、どちらも新契約への言及がなかったことは注目に値する。

 これは秘密主義はF1では目新しいことではないが、チームの間でますます人気が高まる傾向にあり、ファンやメディアにとっては途方もなく苛立たしいことだ。多くの人々がそのような行動は受け入れられないと考えているであろうが、結局のところドライバーが自分の契約条件を知れば、移籍したい場合は他のチームにそれを明かすのは明らかだという指摘もある。だからドライバーの契約期間をライバルに隠すことはできない。だが結局のところ、彼らは自分たちの取引については秘密にしておきたいようだ。

 マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンは、これがチームのポリシーであり、すぐに変更するつもりはないと述べている。

 ノリスの新しい契約の期間について言及がなかった理由を尋ねられると、ブラウンは次のように答えた。

「これは我々のビジネスだ。議論する時もあれば、しない時もある。実際、前回話し合ったのは少々珍しいことだった」

「通常、フェラーリがシャルル(・ルクレール)のことを発表したように、あまり多くの詳細を語らないものだと思う。誰かの契約の詳細を宣伝する理由は見当たらない」

マクラーレンF1との契約を延長したランド・ノリス

 この方法を選んだのはフェラーリとマクラーレンだけではなく、ほとんどのチームがドライバーとの新契約を結んだことを世界に知らせる際に“複数年”や“長期契約”を締結したとアナウンスするようになった。

 一方、レッドブルとメルセデスは、フェルスタッペンの契約が2028年末まで、メルセデスの両ドライバーが2025年末まで、セルジオ・ペレスがレッドブルとの契約最終年を迎えるなど、ドライバーとの契約期間を明確にしている。

 チームがドライバーとの契約の基本条件を正確に知らせない正当な理由もある。それはレース契約の一部であるパフォーマンスおよび解除条項に関係している。

 ハースが昨年末、ニコ・ヒュルケンベルグが2024年もチームに留まることを認めた際、ヒュルケンベルグは「実際、最初から決まっていた契約だったが、もちろんそこにはいくつかのパフォーマンス条項があり、僕は非常に早い段階で目標を達成したので、この確認は形式的なものに過ぎなかった」と率直に語った。そして彼は「でも、もちろん、正式な確認をもらうのはいつだって良いことだ」と笑顔で付け加えた。

 ルクレールとノリスの各契約については、それぞれのチームが一定の結果を残せなかった場合、ドライバーが自由に離脱できるというパフォーマンス条項が含まれていると考えられている。ルクレールの場合、2029年末まで契約を結んだと考えられているが、一定の結果が得られなければ、2年早くチームを去る可能性がある。またノリスの場合、すでに2025年末までの契約を結んでいたことを考えると、マクラーレンが2027年末までに一定の結果を残せなかった場合、解除条項が適用される可能性が高く、ある意味、彼の将来はルクレールの将来と結びつくことになる。

投稿 ルクレールもノリスも“複数年”なぜF1チームは隠したがる。ドライバーとの契約年数を公にしない理由autosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄