「まだ同級生が見つかっていない。火事がなかったら」 能登半島地震から1か月 被災地の今は

能登半島地震の発生から、2月1日で1か月。

(森本琴衣記者)
「倒壊したビルの下には、花が手向けられています」

石川県では最大震度7を観測。

現地を何度も襲った大きな揺れが、救出活動を阻みました。

輪島市の観光名所朝市周辺は、大規模な火災でかつての街並みが一変しました。

(住民)
「父が早くに亡くなっている。写真や思い出の物があったので(探しに来た)全部燃えたかな…(Q.今後の生活は?)わからないです」

31日、あらためて記者が現場を訪ねると、眼鏡店を営む女性が苦しい胸の内を打ち明けてくれました。

(メガネ・時計店「キロク」 木下京子さん)
「まだ同級生が見つかっていない。火事がなかったら、助かったかもしれないと言っていた」

女性の眼鏡店も大きな痛手を受けました。そんな中で1月8日からメガネの無料修理を行ってきました。

(メガネ・時計店「キロク」 木下京子さん)
「メガネ店はメガネ店でしか、時計店は時計店でしかないのがわかった。今まで通りは難しいが、やれることをやっていきたい」

「1つ1つ向き合っていくことしかできない」

今回の地震では、亀裂が入ったり寸断された道路があちこちに。穴水町の国道では亀裂に車が転落していましたが、同じ現場を31日に取材すると、車は撤去され、センターラインを引き直して通行が可能に。

一方、海岸線も大きく変わりました。産業技術総合研究所の調査によると、輪島市の鹿磯漁港では4メートル近く隆起し、船がとめられなくなっています。

さらに…

(森本記者)
「輪島市門前町の總持寺は塀が倒れ、灯籠が入口を塞ぐように倒れています」

鎌倉時代に創建された、門前町の總持寺祖院。震災翌日は。

(總持寺祖院 監院・関口道潤さん)
「山内寺院が完全に壊れた。全壊している」

至るところに、地震の爪痕が。

(總持寺祖院 監院・関口道潤さん)
「壁が落ちてしまったり…」

地震発生時の境内には初詣の人が多くいて、女性1人が倒れてきた回廊に足を挟まれ、骨折する大けがをしました。

(總持寺祖院 監院・関口道潤さん)
「救急車を呼んでも来ない。結局、避難所の一室で仮の手当だけして(女性は)一晩過ごした」

31日に再び寺を訪ねると、復興への道のりはとても険しいということが分かりました。

(總持寺祖院 副監院・髙島弘成さん )
「最初は支援の方々が入ってこられない状況の時に、80人分くらいの炊き出しを行った。感染症は非常に怖かった。そういったところが不安だった」

寺は2007年の地震でも被害を受け、14年の歳月をかけて復興。40億円かかったそうです。そこへきて再び大きな被害、今後の見通しは全く立っていません。

(總持寺祖院 副監院・髙島弘成さん )
「(1か月は)あっという間という気持ちはあるが、やっぱり地域あっての寺。寺あっての地域だから、目の前のことに1つ1つ向き合っていくことしかできない。なんとか賑わいが戻ってくればいい」

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