米、ユダヤ人入植者に制裁 異例措置、イスラエル反発

バイデン米大統領(ロイター=共同)

 【ワシントン、エルサレム共同】バイデン米大統領は1日、イスラエルが占領するヨルダン川西岸でパレスチナ人住民への暴力に関与したユダヤ人入植者らに制裁を科す大統領令に署名した。パレスチナ自治区ガザ情勢でイスラエルを支持するバイデン政権が、同国に制裁圧力を加えるのは極めて異例。イスラエル首相府は、制裁は「必要ない」と反発した。

 米国務省は第1弾として、車や建物への放火で死者を出すなどした入植者4人を制裁対象に指定した。イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続くガザで民間人犠牲が増える中、米国のリベラル派や若者の間でパレスチナ側への同情が拡大。イスラエルに寄り添ってきたバイデン政権の今回の厳しい対応をイスラエル紙ハーレツは「歴史的な動きだ」と報じた。

 大統領令は、入植者によるパレスチナの民間人やイスラエル人平和活動家への暴力が、ヨルダン川西岸やガザの平和と安定に「深刻な脅威」を与えていると定義。制裁対象の米国内資産を凍結し、米国人との取引も禁じる。同様の暴力行為に対し、今後も新たな制裁を科す余地を与えている。

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