【大分】大分市大在地区の児童数の増加に伴い、今年4月に新たに開校する大在東小の校歌が完成した。地区内から公募で選ばれた詩人の木村永遠(ながと)さん(67)=政所=が作詞、シンガー・ソングライターの中堀賢機(まさき)さん(44)=大在北=が作曲を手がけた。2人は制作に携われたことを喜び、「子どもたちが親しみを持ち、元気に楽しく歌ってくれたらうれしい」と話している。
校歌は2022年4月、地区の代表者、学識経験者で構成する大在東小開設促進期成会が地区のタウン誌で歌詞と曲を募集した。学校と市の関係者を加えた選考委員会で木村さんと中堀さんに決定。詞、曲の構成についても協議を重ね、昨年11月に出来上がった。
木村さんは県詩人協会員。元高校工業科教諭で、現在は市内の社会福祉法人「大分市福祉会」の施設に生活支援員兼児童指導員として勤務する。高校時代、体調を崩した時に読んだ中原中也の詩に励まされ、詩の創作を始めたという。15年1月には大分合同読者文芸年間賞(詩部門)を受賞した。
『大きな海の 在るまちで』『世界の船が 夢はこぶ』―。歌詞は「大在」の地名、大分県の物流拠点の大在公共埠頭(ふとう)といった地域を象徴する情景が随所に。市教委が大在小の児童から募った、校歌に入れてほしい言葉も盛り込んだ。「一人の詩人としてより、みんなで作ったことに価値がある。古里や大在東小を誇りに思い、歌い継いでいってほしい」
中堀さんは市内のJX金属製錬佐賀関製錬所に勤務する傍ら、「マイサテ」の名前でライブハウスを中心に音楽活動をしている。大在はもとより県内の祭りやイベントにも出演。地区内で毎月開かれるNPO法人の子育て支援イベントで歌声を届けている。
木村さんが作った歌詞に曲を付けた。「校歌は児童がずっと歌っていくもの。笑顔で楽しく歌えるメロディーを意識した」と中堀さん。「推薦してくれた知人、楽曲の録音に協力してくれた音楽仲間などチームで作ったようなもの」と周囲に感謝する。子どもたちには「好きなことを続けていればいいことがある、ということを伝えたい」と笑みをこぼした。