裏金か「裏金」か

 裏金か、それとも「裏金」か…。と、こう書くのでは何の話か分かりにくいが、通常国会の冒頭から防戦一方の自民党が、ストレートに裏金と表記されることに神経をとがらせているそうだ▲書き言葉のかぎカッコには、中身の言葉に〈いわゆる・言うところの〉といった意味を添える機能がある。政治資金収支報告書を修・訂正したのだから、もう“裏のカネ”そのものではない、という論法らしい▲何を今さら、この期に及んで…という感想しか持てずにいる。〈隠されていて表から見えない所や事柄〉-「裏」の定義がぴったりではないか。彼らが進んで「表」に出したわけでもない。隠していたカネが告発と検察の捜査で露見したのだ▲「組織的」「党ぐるみの犯罪」などの表現にも繰り返し反発しているようだ。本気で主張しているのだとしたら言わせてもらわねばならない。反省が足りない▲衆院長崎2区選出の加藤竜祥議員が国土交通・内閣府・復興政務官を更迭された。派閥から還流を受けた10万円の報告を怠っていた。問題が金額の多寡でないのは言うまでもない▲兼務していた3役職はどれも重い。1期生には貴重な経験になるはずだった。悔やまれてならない。不記載は「派閥の指示」だったという。ならば、まだ語るべきことが残っている。(智)

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