1月の新型コロナ破たん 初めて前年同月を下回る これまでの累計は8,659件

【1月31日現在】

◇1月の新型コロナ破たん 初めて前年同月を下回る

1月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が209件判明した。前年同月(245件)から14.6%減少(36件減)し、前年同月を下回った。これまでの累計は8,253件(倒産8,037件、弁護士一任・準備中216件)となった。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計406件判明した。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で8,659件に達した。
国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.241%で500社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.425%、次いで福岡県の0.352%、宮城県の0.336%、大阪府の0.301%、群馬県の0.292%。一方、最低は高知県の0.103%で、地域によってばらつきもある。
コロナ関連破たんは依然として月間200件超えの高水準が続くが、月次件数では2020年2月の第1号発生以来、初めて前年同月を下回り、増減数でみるとピークアウトの気配もうかがえる。
ただ、業績回復が見出せずにコロナの後遺症に苦しむ企業は多い。また、コロナ関連融資の返済や、猶予措置を受けていた公租公課の支払いが再開し、資金繰りを維持できないケースも頻発している。このため、コロナ関連破たんは当面、一進一退が続くとみられる。


【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 300件以上は7都道府県 ~

都道府県別では、東京都が1,691件と全体の2割強(構成比20.4%)を占め、突出している。以下、大阪府783件、福岡県449件、愛知県419件、兵庫県371件、神奈川県343件、北海道339件、埼玉県279件と続く。
300件超えが7都道府県、200件~300件未満が4県、100件~200件未満も9県に広がっている。一方、10件未満はゼロで、最少は鳥取県の19件。

【業種別】(負債1,000万円以上)~最多は飲⾷業の1,348件、建設業、アパレル関連が続く~

業種別では、コロナ禍での来店客の減少に加え、食材や光熱費高騰の負担も重い飲食業が最多で1,348件に及ぶ。客足は戻っても売上の回復に至らず、経営体力の消耗による破綻や、あきらめ型が多い。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が999件に達した。このほか、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の578件。飲食業などの不振に引きずられた飲食料品卸売業が336件、食品製造が246件、扱い量の減少などが響いた貨物自動車運送業が231件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が226件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

負債額が判明した8,198件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の3,218件(構成比39.2%)、次いで1億円以上5億円未満が2,521件(同30.7%)、5千万円以上1億円未満が1,672件(同20.3%)、5億円以上10億円未満が408件(同4.9%)、10億円以上が379件(同4.6%)の順。
負債1億円未満が4,890件(同59.6%)と約6割を占める。一方、100億円以上の大型破たんも23件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した8,037件の形態別では、破産が7,284件(構成比90.6%)で最多。次いで取引停止処分が295件(同3.6%)、民事再生法が237件(同2.9%)、特別清算が192件、内整理が22件、会社更生法が7件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の9割超を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した8,041件の従業員数の合計は7万229人にのぼった。平均すると1社あたり約9人となる。
8,041件の内訳では従業員5人未満が4,838件(構成比60.1%)と、6割を占めた。次いで、5人以上10人未満が1,521件(同18.9%)、10人以上20人未満が928件(同11.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、下半期も31件判明。2023年上半期は27件、下半期は39件、2024年は1件判明している。

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