長崎県教育長に就任 前川謙介さん 「子どもファースト」で考えたい 【インタビュー】

前川謙介さん

 〈長崎県文化観光国際部長から1月1日付で県教育長に就任。抱負や課題を聞いた〉

 -初めて携わる教育行政。どう進めていくか。
 県内の中学3年生は約1万2千人。15年後は昨年生まれた約8千人しか高校に入学しない。だからといって単純に高校の数を減らすのではなく、県内外の生徒に選ばれる魅力ある学校づくりを地域一体となって中長期的に進める必要がある。学びに特色を持たせるなど、子どもにとって一番の学校の姿を、当事者を交え「子どもファースト」で考えたい。
 現場で人と会い、交わした意見を発想につなげる手法は前教育長と同じ。常識という殻を破り、まずやれることを考える。「県立高校の魅力化」や本県独自の「学校の働きがい改革」など、前教育長がまいた種は引き継ぎ育てる。

 -2024年度の教員採用試験志願倍率は過去最低だった。なり手不足解消に向けた働き方改革は。
 今年から、現場教員が夏季休業中に休暇を取得しやすくするため、年休の付与日を従来の元日から9月1日に変更した。常識を破っただけで、かかった労力は少ない。学校内外の意見を聞き、「当たり前」を変えられる部分を見つけたい。
 -離島半島部の小規模校のあり方は。大村市に来年開設する県遠隔教育センター(仮称)をどう活用するか。
 過疎地域や離島の学校は学習の場だけではなく、まちづくりの拠点という役割もある。地元で頑張っている大人や、UIターンで新しいことに挑戦する若者らも加え、連携できるフィールドをつくりたい。小規模校で専門教科を教えられない部分をセンターで補う。

 -本県の不登校児童生徒数が7年連続で最多を更新した。
 不登校になる前の初動の対応が大事。スクールカウンセラーらを活用し、子どもや保護者が相談しやすい仕組みをつくる。学校に戻ることがマストではないが、子どもに寄り添いどんな形が一番良いか考えたい。教室に入れない児童生徒の居場所を各学校につくることも一例だ。

 -国内最大の芸術と文化の祭典「ながさきピース文化祭2025」が来年開かれる。教育分野にどう生かすか。
 学校教育でもピース文化祭を一つの目標にいろんな取り組みができる。培ったノウハウを開催後に生かせるような取り組みをしたい。

 【略歴】まえかわ・けんすけ 長崎市出身。県立諫早高卒、早大卒。1987年入庁。大手証券会社に1年間出向し営業などを経験した。五島振興局長、企画振興部政策監などを歴任。趣味は県内旅行や漫画を読むこと。好きな言葉は「笑顔」。

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