アリーナ整備費が想定の1.4倍となる105億円に 福井商工会議所が見通し、県や市に支援要望

杉本達治知事(右)に要望書を渡す八木誠一郎会頭=2月1日、福井県庁

 福井県の福井市東公園を建設候補地とする民設民営のアリーナ構想で、福井商工会議所は2月1日、設計費を含む整備費が当初想定の1.4倍となる105億円に膨らむとの見通しを明らかにした。資材価格や燃料費、人件費などの高騰が主な要因。八木誠一郎会頭は同日、民間主体での資金調達は「高いハードル」として、福井県や同市に国の補助制度活用などによる支援を要望した。

 アリーナ整備は県、同市、同会議所による県都にぎわい創生協議会で基本構想に合意。当初、概算で約75億円とされた整備費は銀行融資55億円、企業出資15億円、寄付5億円で賄うとしていた。同市は経済界が示した年間54億円に上る経済波及効果を念頭に、建設用地である東公園の無償貸与を検討。県はアリーナ利用時間の買い取りなど協力姿勢を示している。

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 同会議所は、相当額を出資するとみられている通信インフラサービスのオールコネクト(本社同市)とともに、具体化の検討を進めてきた。

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 八木会頭はこの日、県庁で杉本達治知事と面談。整備費、事業収支見込み、施設のコンセプトや規模などを盛り込んだ基本計画案を6日に公表すると説明した。企業の寄付や出資、金融機関の協力による低金利融資の実現などで「資金集めに努力する」と強調した一方、「高いハードルであるのは事実」とし、国補助制度などによる整備費の支援や行政主催イベントのアリーナ活用を求めた。

 杉本知事は、防災拠点機能も含めアリーナ整備の意義に理解を示し、「国庫補助などはいい提案。福井市や県会とも相談し、具体的にどうするか考えたい」と答えた。県幹部によると、国の補助制度のうち通常は自治体が行う社会体育施設の整備を民間が担う場合に活用できるメニューなどがあるという。制度によっては一定の地元負担が必要になる可能性もある。

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 面談後、八木会頭は報道陣の取材に、基本計画案で行政支援を見込む規模などを示すとし、整備費自体の縮減にも取り組むとした。

 西行茂・福井市長は報道陣の取材に「アリーナは市中心部のにぎわいづくりに意味がある。どんな支援ができるか引き続き検討していく」と述べた。西本正俊県会議長は福井新聞の取材に「造る以上は全国から注目されるような施設にし、県都のにぎわいに資するものであってほしい。防災面での役割も大きい」との認識を示した。

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