マティアス・エクストロームがマクラーレン入り。元王者グティエレスと強力ペア結成/エクストリームE

 昨年12月には過去2年間を戦ったタナー・ファウストとエマ・ギルモアの離脱をアナウンスし、年初にはレギュラーチーム一番乗りで2024年のカラースキームを公開していたネオム・マクラーレンXEが、ワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』のシーズン4に挑むドライバーラインアップを発表。昨季2023年は最後の1周までタイトルに挑んだマティアス・エクストロームと、2022年にセバスチャン・ローブとともに王座を獲得したクリスティーナ・グティエレスの強力ペア獲得をアナウンスした。

 その2022年シーズン2から新規参入を果たした“ネオム・マクラーレン・エレクトリック・レーシング”だが、サーキットの名門はこれまでの15戦でいまだオフロードでの勝利を記録できていない。そこでチームは昨季終了の早い段階でレギュラードライバーの放出に踏み切り、エクストローム/グティエレスとの契約で運命を好転させたいと考えている。

「彼らから電話を受け、その頼みを断れる人物はいるのかしら? チャンピオンシップで3シーズン目を迎えるネオム・マクラーレンXEの一員になれることをうれしく思うし、私に期待し、この美しい冒険に招待してくれたマクラーレンに感謝している」と、過去3年間はルイス・ハミルトン率いるX44ヴィダ・カーボン・レーシングで戦ってきたグティエレス。

昨季2023年は最後の1周までタイトルに挑んだマティアス・エクストロームと、2022年にセバスチャン・ローブとともに王座を獲得したクリスティーナ・グティエレスの強力ペアに

 一方、こちらもライア・サンズとのペアでタイトルにあと一歩まで迫った2016年のWorldRX世界ラリークロス選手権王者のエクストロームも、かつてDTMドイツ・ツーリングカー選手権で覇を競い、ともに2度の戴冠を経験する“ライバル”との共闘に意欲を見せる。

「誰もがよく知るように、僕は(チームのスポーティングディレクターを務める)ゲイリー・パフェットとは何度も勝利を分け合った仲だ。DTMでお互いにレースをし、長年その“手の内”をよく知った彼が指揮を執ることで、チーム内の誰もが非常にモチベーション高く、最高の結果を目指して突き進む準備ができていると思う」と、かつての仇敵を称賛したエクストローム。

「こうしてパパイヤカラーのウエアを着ることができて興奮している。彼らにはモータースポーツにおける大きな伝統と成功の歴史があるし、僕自身もクリスティーナと一緒にそのサクセスストーリーを拡張できることを願っている。新しいチームに素早く適応し、彼らから学びながら自分の知識を共有し、初日から先頭に立つ必要があるね」

 かつてはメルセデスのエースとして、アウディ陣営のエクストロームを眺めていたパフェットも、この完成されたラインアップに期待を寄せる。

「クリスティーナとマティアスがエクストリームEでの3年目のシーズンに加わるというニュースを共有できるのは素晴らしいことだ。彼らはこの電動シリーズだけでなく、他のあらゆるカテゴリーで成功を収め実績を積んできた。そのスキルと決意によって、僕らは今季に何が達成できるか。本当に楽しみだよ」

新年度も象徴的なパパイヤとアンスラサイト(無煙炭)のカラースキームが採用された

■「彼女は非常に賢くて速い」と期待を寄せるエクストローム

 そのエクストロームにとってグティエレスは新たなチームメイトとなるが、今季年明けも含めラリーレイドの会場で時間を共有した経験もあり、見知らぬ人ではないどころか「非常に感銘を受けるドライバーの筆頭」だと明かす。

「彼女は非常に賢くて速いことを証明しており、僕にとってはモータースポーツ界でNo.1の女性ドライバーの地位を確立していると思う」と続けたエクストローム。

「ラリーレイドの世界では、彼女は自分自身を適切に位置づけており、賢明なドライブと判断を重ねてきた実績がある。彼女とクルマを共有し、僕自身も何が学べるか確認することを楽しみにしているし、彼女がアドバイスを求めているのであれば喜んで手助けしたい」

 そう評価された『第46回ダカールラリー2024』の“チャレンジャー(T3)クラス”総合優勝のグティエレスも、エクストロームがチームにもたらす価値を「よく知っている」と応じた。

「彼は本当に印象深い。ドライブしたクルマを大幅に改善して進化させるから、ダカールのすべてのベストチームが彼を自分たちのチームに加えることを望んでいる。そのことを私は長い間この目で見て知っていたの」

 改めて名門チームのエースに就任した元DTM“2冠”王者は、マクラーレンでの生活の始まりについて語るとともに、新シーズンへの意欲を示す。

「クリスティーナも僕も、ダカールプログラムでとても忙しかった。モロッコでラリーをやって、その後はフィットネストレーニングをして、ダカールからは10日間の休みを取ったから、正直あまり準備はできていない」

「でも、ここからスタッフと準備期間を設けて“合宿”をし、定期的なセットアップと準備、チーム全体の運営など週末を細分化して『楽しいけれど退屈な作業』が間もなく始まる。詳細を調べ、僕らがどれだけうまくできるかを見てみよう」

 同じく、昨季はチーム史上最高の3勝を挙げたヴェローチェ・レーシングは、ケビン・ハンセンとモリー・テイラーのコンビを継続。こちらも元F1王者のニコ・ロズベルグ率いるロズベルグXレーシング(RXR)も、チャンピオンを獲得したヨハン・クリストファーソンとミカエラ・アーリン-コチュリンスキー続投で、タイトル防衛とシリーズ連覇に挑む。

「最終戦を終えた瞬間から準備は本格化しており、チャンピオンシップに飢えている」と初代王者でもあるモリー・テイラー(左)
「シリーズを初制覇できたことは夢が叶った瞬間。今季も成功をさらに築いていけることに興奮している」とコチュリンスキー(左)

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