日本戦のイラン代表、たぶん誰も知らないユニフォーム“こぼれ話”「ヒョウ柄がブーム」「選手がユニサプライヤー」

日本代表が3日にアジアカップ準々決勝で対戦するイラン代表。

ここでは、一般的にはあまり知られていないであろうイランのユニフォームにまつわるトリビアをご紹介しよう。実はユニサプライヤーに関しては謎多きチームである。

近年はヒョウ柄がブーム

イラン代表 2014 Uhlsport ホーム ユニフォーム

イランのユニフォームといえば、昔は胸に国名Islamic Republic of Iran(イラン・イスラム共和国)の略称である「I.R. IRAN」のデザインがインパクトを放っていた。中東諸国の代表チームのユニには比較的多かったスタイルである。

だが近年は別のデザインによって異なるインパクトを放つ。国の象徴である動物のヒョウをイメージしたヒョウ柄だ。イランヒョウ(またはペルシャヒョウ)は個体数が激減中で、今では絶滅が危惧されている。

2014年ブラジルW杯で着用のユニフォームには、イランヒョウの現状と保護を国際社会にアピールする狙いでヒョウの顔をデザイン。ただ、これが国際サッカー連盟(FIFA)の禁止する政治的メッセージに該当するのではないかという懸念もあり、以降のW杯ユニフォームではヒョウ柄を採用しても、ヒョウの顔を描くという直接的なデザインは使われていない。

選手がユニサプライヤーだった

イラン代表 2001 Daei Sports ホーム ユニフォーム

イランに限らず中東の代表チーム全般に言えることだが、2000年代までのサプライヤーに関してはどの国にも謎が多い。イランも同じ時期になぜか2つのサプライヤーが存在することもある。

そんな中の一つに「Daei Sports」というメーカーがあるが、これは代表チームで長くプレーした“英雄”アリ・ダイエのブランドだ。選手のブランドを着用する代表チームは極めて珍しい。

左胸にDaeiの文字が入ったロゴマーク。紛れもなくDaei Sportsのユニフォームである。

一部のウェブサイトではブランドの設立が2009年となっているのだが、実際には90年代からイラン代表はこのブランドのユニフォームを着ていた。

ただし、このブランドに関しては実物や着用写真といった記録が非常に少なく、代表チームにおける実際の着用期間を100%正確に把握している人物は存在しない可能性が高い。

イラン代表 2004 Daei Sports ホーム ユニフォーム

Daei Sportsは2004年、2005年、2007年にも他のメーカーと入れ替わる形でサプライヤーを担当している。

この2004モデルのデザインはどう見ても当時のNikeのユニフォームにそっくりで、一部界隈で話題となっていた。デザインはアリ・ダエイ自身が手掛けていたと言われていたが、実際にどの程度関与していたのかは分からない。

謎のサプライヤーがある

イラン代表 1997 Saipa ホーム ユニフォーム

このユニフォームは1997年に着用していたもので、主に1998フランスW杯アジア予選で使われている。日本代表が勝利して初のW杯出場を決めたジョホールバルでの試合でも着ていたので、見覚えのある人も多いかもしれない。

実はこのユニフォームのサプライヤーが謎の存在だ。

胸元には海でよく見かけるテトラポッドのようなマークがあり、その下に「SAIPA」と刻まれている。だが、この名前のスポーツブランドは見つからない。

ジョホールバルで日本戦の後に行われた、オーストラリア代表との大陸間プレーオフでもSAIPAのユニフォームを着用。それほどの大一番で使われたにもかかわらず、正体は不明だ。

実は、同じ名前と同じマークを使う自動車メーカーがイランに存在する。日本では「サーイパー」の呼び名が使われるイラン自動車生産合資会社。1966年創業のイラン大手メーカーだ。上記画像は現在のSAIPA社のロゴマークで、メタリックにアレンジされているがユニに付いているものと全く同じデザインである。

横浜FMだけじゃない!胸に『NISSAN』を付けた海外ユニを知っているか

1997年のユニフォームとこの自動車メーカーの関係性については不明だが、同じロゴとブランド名という偶然はあり得ないため、何らかの目的を持ってサプライヤーとして関与していたのだろう。

ちなみにこの企業は今季イラン2部リーグに所属するサーイパーFCを1989年に創設している。サッカーに対して強い関心を持っていたことは間違いない。

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