「ロープを繋がない合理的理由がない」消防隊員殉職のビル火災で部隊隊長に減給処分=静岡市消防局

消防隊員1人が亡くなった静岡市葵区の火災をめぐり、静岡市消防局は2月2日、当時、体をロープで結ばずに進入するように指示した隊長を減給の懲戒処分としました。

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2022年8月、静岡市葵区呉服町の飲食店で発生した火災では火元の確認に建物内に入った男性消防隊員(当時37歳)が火災に巻き込まれ、殉職しました。現場では当時、視界が確保されていたことなどを理由に、本来、命綱として使用する隊員同士をつなぐロープを使わずに進入しました。

この判断をめぐり、ロープを使用せずに進入を指示したことが活動基準と異なるとして、静岡市消防局は2日、殉職した男性隊員の部隊の当時の隊長(30代)を6か月の減給(給料の10分の1)の懲戒処分としました。

<静岡市消防局 伴野泰造警防部長>=2022年8月
「現時点で活動に対しては問題なかったと理解しております」

静岡市消防局は当時、ロープを使用しなかったことは「問題なし」としていましたが、今回の隊員の処分でロープの不使用は基準に違反していたと認めた形です。また、事故調査委員会の指摘なども踏まえて、静岡市消防局の担当者は「命綱をしていれば事故は起こらなかったとみている」と話し、消防局としても「ロープを繋がない合理的理由がない」と結論付けたことを明かしました。

また、関係者によりますと、この懲戒処分のほかに、当時の現場の指揮を担っていた男性隊員に対しては厳重注意、当時の現場責任者だった50代の隊長(車のスピード違反で有罪判決を理由に失職扱い)は、訓告相当となっています。

静岡市の難波喬司市長は「職員の命を失ったことと職員を処分することに至ったことを深刻に受け止めています。改めて、ご遺族の方にはお悔やみとお詫びを申し上げます」とコメントしています。

現在、難波市長のもと、消火活動や組織風土の課題を洗い出す再検証が進められています。

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