農業の未来は…若手農家の研修会 資材高騰で将来を悩む若者も 希望は「消費者とのつながり」 農村と消費地が近い広島の利点生かして

広島県内の若手農家を集めた研修会が先日、広島市でありました。農業資材の高騰が農家の経営を圧迫する中、将来の進路を悩む若手もいました。

「ひろしま未来農業者ミーティング」は、就農5年以内の若手を対象に農家のグループや県などが毎年、開いています。関心事の一つがウクライナ危機以降続く、資材高騰への対応です。

就農研修中の若者(北広島町)
「経営破綻にならないように、スタートした時から安定して生産が行われるようなこと今、考えてますね」
県農業経営者クラブ 藤本聡 会長
「広島県だから出会える人々との、そういった中での売り方をしていく、そうしたことが1つ広島県の農業を楽しくする」

グループの代表、藤本聡さんは、参加者に作物のPRを考えるよう課題を出しました。厳しい時代だからこそ消費者へのアピールが必要というのです。進路を悩んでいる青年がいました。

佐藤望さん(21)(庄原市)
「なぜ農業しようと思ったか、結構聞いてみたいです。正直お金稼ぐだけならいくらでもあるじゃないですか、何をもってして農業始めるのかな」

佐藤望さんは、研修会で課題を出した藤本聡さんの農園で働いています。5年後には独立するつもりです。ところが県の経営モデルを参考に計画を立てたところ、資材高騰の影響で、とても資金が足りないと分かったそうです。

佐藤望さん(21)(庄原市)
「1000万とか2000万とか、結構ポンポン、ハウス建てたりトラクター買ったり。無理じゃないかな返済できんわって、一歩が出せないという、そんな感じですかね」

県農業経営者クラブ 藤本聡 会長
「今の彼らの夢が叶わないと。農業そのものが本当に立ち行かなくなるのが見えてますんで」

藤本さんの地域でも高齢化で農業をやめる人が相次いでいます。この2頭の牛も飼えなくなった人から引き取りました。

希望は消費者とのつながりです。

藤本さんの農園ではアイガモ農法を通じたコメ作りで、消費者との関係を作り安定した経営を行ってきました。研修会で、作物のPRを課題に出したのもそのためです。

県農業経営者クラブ 藤本聡 会長
「広島県は農村と消費地が近いので、そこの利点を最大限活かして、お互いに情報交換をしていくと、ほかの県にはない価値のある地域になっていくんじゃないかと」

研修会では今、急成長している県内3人の野菜農家が講演しました。

西坂和真さん
「サラリーマンになるよりも、絶対売り上げ上げられると思うので、農業は絶対これからチャンスだと思う。がんばってみて下さい」

「やればできる」という先輩たちの話に、佐藤さんも刺激を受けたようです。

佐藤望さん
「何かやってみたら案外、うまくいくんじゃないかなと。今回、話聞いてたりしてて」

研修会の最後は作物のPRです。佐藤さんは、自ら手を上げ前へ出ました。

佐藤望さん
「弊社では一粒万笑。そのおコメ食べておいしい!という笑顔。秋の収穫体験で収穫してもらって、活動している時の消費者様の笑顔。僕たちの給料が支払われて、うるおって僕も笑顔になるっていう、そういった万の笑顔を生み出せるというのが、株式会社・藤本農園のおコメだと、私は自己PRをします。ありがとうございました」

藤本さんは佐藤さんが農園のコメ作りを理解していたことを知り喜びました。やる気を取り戻した佐藤さん…。春からは、初めて野菜作りに挑戦します。

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