【南極大陸=報道部・小田信博】南極大陸沿岸部の露岩帯スカルブスネスに滞在中、不思議な光景にいくつか出くわした。
まず目についたのは、滑らかな岩肌とその上に乗った大小さまざまな石だ。はるか昔、周辺に氷河が流れていた名残で、岩の表面が削られた跡だという。石は氷河によって別の場所から運ばれたもので、「迷子石」と呼ばれている。
氷床にも岩や土砂が堆積した場所がある。白一面の世界にぽつんと地面があるようで、違和感を覚えた。実は地面ではなく「モレーン」と呼ばれる一帯で、氷河に削り取られた岩石などが氷と一緒に長い年月をかけて移動し、堆積してできた。いずれも悠久の時を経て現れた自然の造形美で、南極のスケールの大きさを改めて感じた。