親子の絆、山形で復活 コロナ禍に閉じた仙台の中華料理店、メニュー絞って提供

鳳南を切り盛りする長女斉藤智恵さん(右)と、中沢利夫さん(中央)澄江さん夫妻=山形市八日町1丁目

 新型コロナウイルス禍に仙台市の中華料理店を閉じた家族が、長女の結婚と出産を機に今月、山形市に店を移して再出発した。メニューは仙台時代に人気だった五目焼きそばとギョーザに絞り、手頃な価格に設定した。オープンから半月足らずだが、60年以上も腕を振るう料理人の味は地元で評判になっている。

 店名は「鳳南(ほうなん)」。オーナー斉藤智恵さん(42)が両親の中沢利夫さん(78)澄江さん(70)夫妻と今月16日にオープンさせた。カウンター8席、小上がり4席の店構え。70人以上が入った仙台の頃に比べるとコンパクトだが、カウンター越しに客との会話が弾む。

 五目焼きそばは揚げた中華麺に、具材たっぷりのあんを絡める。麺は外がカリカリ、中はモチモチで、油っぽさを感じず、濃厚ながらすっきりとした味わい。ギョーザは野菜と肉のバランスが絶妙だ。1日約500個を仕込み、足りなくなることもある。

 3人は仙台で中華料理店「シノワズリー啓樹(けいじゅ)」を営み、自慢の味で客をうならせてきた。コロナ禍の2021年1月、閉店を余儀なくされ、その後はギョーザを通信販売していた。

 出産を機に、夫の故郷・村山市に移住することになった斉藤さんが「コロナ禍で店が中途半端に終わった。父が輝くのは調理している時」と、両親に山形市での出店を持ちかけた。両親も再開を模索していたことから、昨年11~12月に相次いで本県に移った。

 出店費80万円をクラウドファンディング(CF)で募り、仙台時代の客からも応援を得た。店名はかつて使った「鳳南」を選んだ。新天地での再出発に利夫さんは「やることは変わらない」と自信をのぞかせる。3人は「誰もが気軽に立ち寄れ、地域に愛される店にしたい」と口をそろえた。

【メモ】 鳳南の五目焼きそばはスープ付きで900円、ギョーザ単品(6個入り)は500円。ライス、小鉢、スープの付くギョーザ定食(800円)もある。五目焼きそばとギョーザはテイクアウト可。営業時間は午前11時~午後3時と午後5時~8時。日曜定休。所在地は山形市八日町1の2の1。電話023(666)3976。

鳳南で提供される五目焼きそば(左)とギョーザ

© 株式会社山形新聞社