十島村の全小中学校を義務教育学校に 2024年度から 目玉は新設の「トカラ科」

2024年度から義務教育学校に再編される中之島小中学校=十島村(同校提供)

 十島村は2024年度、村内七つの有人島に一つずつある小中学校を義務教育学校に再編する。児童生徒の学力向上や教師の負担軽減などが目的で、小中の児童生徒が同じ校舎で学ぶ形は現行のままとなる。再編に合わせ、島の自然や歴史などを探究する独自教科「トカラ科」も新設する。現在、県教育委員会に届け出中で、正式に決まれば県内自治体で7例目になる。

 全7校で児童生徒数が114人という小規模校のため、これまでも学校行事を合同で実施するなど小中で連携してきた。再編後は1~6年を前期課程、7~9年を後期課程とする一貫教育に移行。小中の学習指導要領の適用内のため、学習内容は大きく変わらない。

 「トカラ科」は、児童生徒に主体的な学びの機会を与えるのが目的。主に総合的な学習の時間を活用し、自分の暮らす島の自然や祭りなどを題材に歴史や文化を調べ、発表する。授業の詳細な進め方は、各校に委ねる方針。

 教職員定数も変更され、再編によって各校1人ずつ加算できる。教職員の業務量軽減や学習指導へのてこ入れが見込める。

 十島村の木戸浩教育長は「学び、生活の両面で大きな意義がある。村の教育のさらなる活性化につなげたい」と期待した。

■義務教育学校
 小学校、中学校の義務教育期間9年間を一貫して行う学校。国が2015年6月に改正学校教育法で制度化し、16年4月から施行した。各学校の判断で、独自の新教科を新設したり、学年の「6.3」を弾力的に変更したりすることが可能となる。校長は1人で、教員には原則、小中両方の免許が必要となる。

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