「BリーグU16チャレンジカップ2024」が開幕、頂点を目指す4強が決定!

5年ぶりに海外チームを招いての開催

「Bリーグ U15 チャンピオンシップ 2023」の上位4チームに、海外から招いた2チームを加えた計6チームが頂点を目指す「BリーグU16チャレンジカップ2024」が開幕した。明日までの2日間、代々木競技場第二体育館で熱戦が展開される。

Bリーグユースチームと海外チームとの交流を通して世界に挑戦する意識を高め、国際的に通用する選手やチームの輩出につながる機会の提供を目的とした大会だが、過去4年間、新型コロナウイルスの影響で海外チームの参加は見送られてきた。今年は韓国とチェコから各1チームを招き、5年ぶりに本来の形での開催が実現。飛躍を目指す出場各チーム、各選手にとっては、大会名が示すとおり“チャレンジ”の場となる。

日本のバスケットボールの聖地、代々木競技場第二体育館を会場に、大会は初日から熱を帯びたものとなった。3日に行われたA、B両グループに分かれての予選リーグ戦の結果は下記のとおり。

【初日試合結果】
<グループA>
U16 島根スサノオマジック 55‐92 CZ Academy U15
<グループB>
横浜ビー・コルセアーズ U16 111‐66 サムソン サンダーズ U15
<グループA>
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U16 83‐46 U16 島根スサノオマジック
<グループB>
ライジングゼファーフクオカ福岡 U16 67‐69 横浜ビー・コルセアーズ U16
<グループA>
CZ Academy U15 92‐75 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ U16
グループB>
サムソン サンダーズ U15 54‐104 ライジングゼファーフクオカ福岡 U16

オープニングマッチとなったU16島根とCZ Academy U15の対戦は、登録メンバーの平均身長172㎝の島根SMに対して、同192㎝のチェコが試合開始から優勢にゲームを進めて9‐0と先行。しかし、島根SMも#7鈴木龍雅の3Pでチーム初得点を挙げると、持ち前の機動力を生かしてボールをつなぎ、#5大國颯仁や#6野口練の3P、#24赤木凛玖の技を駆使した多彩なシュートで攻撃のリズムをつかみ、前半を終えて21‐29と食い下がった。

チームとして初の海外チームとの対戦となった島根SM
CZ Academy U15はチェコアカデミー生とアカデミー候補生の混合メンバーで、今大会がチームとして初めての試合ということもあり、前半は小さなパスミスなども散見されたが、息が合い始めた後半はフィジカルを武器に攻防で自信みなぎるゲームを展開。粘る島根SMを振り切り、92‐55で勝利を収めた。

クラブとして海外チームとの対戦は初めてという島根SM。序盤の苦しい状況の中、自らの連続得点で戦いのリズムを作った#24赤木は、「自分たちのバスケットをすることが一番ですが、リバウンドのところで下がってしまうところがあったので、そこを見直していきたい。僕たちの持ち味は、みんながハードワークできるところ。その持ち味で流れを持ってこられるように」と2戦目以降に向けた課題を語った。

#24赤木にとっても今後につながる貴重な経験となった

一方、選手たちの戦を見守った末松勇人ヘッドコーチは、「うちはシュート力がないチームですが、(序盤の)スコアされ続けて重たい状況の中で、いい形でボールを奪ってトランジションが出せるようにしたり、スタートを早くして、ズレが大きく起こる瞬間をチャンスとして待ったりなど、ディフェンスで自分たちから仕掛けたところが流れを呼び込む要因になったかなと思います」と振り返る。そして、「3年生が少ないチーム構成で、途中2年生だけを出した時間帯もありましたが、いい経験をさせてもらったこの大会にはすごく感謝しています。子どもたちが肌で感じ、経験したことをこれからどう生かしていくのかが一番大事。この経験をきっかけに、子どもたちが世界に目を向けてくれるようになれば」と語り、今後の成長のためにも貴重な機会となったようだ。

国の代表として戦う誇りを胸に

2試合目、横浜BCと韓国のサムソン サンダーズ U15の対戦は、キャプテン♯11大越海藍の連続3Pで先制した横浜BCが、その後も攻防でアグレッシブなバスケットを展開。試合を通じて形勢を優位に運び、111‐66で勝利した。

#11大越を中心に果敢なバスケットで勝利を収めた横浜BC
サムソン U15のキム ハッチョルアシスタントコーチは、「昨年8月の全国大会で優勝したチームなのですが、その大会以降チームは一度解散し、この大会のために再び集まりました。限られた時間の中で準備もあまりできず、選手の体力という面でも本来の力を見せることはできませんでしたが、できることを精一杯やってくれたのではないかと思っています」と選手たちをたたえた。

昨夏の全国大会で優勝を飾ったサムソンU15

韓国では、本気でプロを目指す一部のエリートとは異なり、クラブチームでは多くの選手が勉強とバスケットの両立を目的に日々の活動に取り組んでいるという。巧みなボールハンドリングを駆使して、横浜との試合で15得点、7リバウンド、4アシスト、2スティールと多彩な働きを見せたキャプテン♯1パク チェヨンも、「バスケット選手としての夢というのは特になく、将来は企業の経営者になりたいと思っています」という。

だが、そんな将来の夢に向けて、一人の人間としての成長も促してくれるバスケットに打ち込むことには大きな意義があり、これまで日本や台湾との交流試合の経験があるという♯1パクも今日の試合に臨むのにあたっては、「大きな緊張はありませんでしたが、韓国の代表としてしっかりプレーしたいと思いました」と語る。

将来は企業の経営者になることをめざし、今は勉強とバスケットの両立に励む#1パク

キムACも、韓国バスケットボールリーグ(KBL)とBリーグとのパートナーシップ締結により実現した今回の大会参加は、「ご招待いただいたことをたいへんうれしく思っております」と語り、さらに「韓国では小学校1年から6年生まで1学年ごとに区切られて育成が行われており、今後はそのようなエリートに上がる前の年代の交流も行われれば」と期待を寄せる。

「サイズはなくともスピードがある。
日本のバスケットはチェコにとってもいい経験でした」

第5試合では、CZ Academy U15と、昨年度のB.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023で優勝を果たした名古屋ダイヤモンドドルフィンズU16が対戦。身長差はあるものの(名古屋D U16の平均身長は177㎝)、フィジカルの強さやプレーに注がれるエネルギー量で名古屋D U16は一歩も譲らない戦いを演じた。B1最年少出場記録(16歳4カ月15日)並びに最年少得点記録を樹立したエース#2若野瑛太を筆頭に各選手が果敢な攻めのバスケットを展開。1Qで22‐28と1桁点差で食らい付き、2Qでは小川莞大の3Pで32‐33と1点差に詰め寄る。しかし、急造チームながらも時間の経過とともに連携の強さを増していったCZ Academy U15が後半で攻防により厳しさを増し、最終的には92‐75で初日2勝目を挙げた。

名古屋D U16は#2若野を中心に果敢なバスケットでCZ Academy U15に食い下がった

CZ Academy U15のルーカス ピヴォダHCは、「メンバーが合流して3日ほどしか経っていません。今日は2試合を経験しましたが、チームとしての完成度は低く、ディフェンスに関して要改善点が多く見られるのと、オフェンスに関してはターンオーバーが多く、明日に向けてはそのあたりをしっかりケアしていきたいと思っています」と振り返る。そして、「日本に来るのにあたっては、コート上だけではなくて、オフコートの部分に関してもしっかりチームとして活動できるように、そんな習慣も含めて学びの機会としたいと考えています」と続けた。

チェコ国内では上のカテゴリーに胸を借りての強化や、ヨーロッパの他の国々への遠征も積極的に行われており、キャプテンを務めた♯13ミカエル プロキーシェックも、「チェコ代表になりたいのはもちろん、個人としての最大の目標はユーロリーグに出場しているようなクラブでプレーしたいと思っています」と意識は高い。

将来はユーロリーグで活躍するという大きな目標を持つ#13プロキーシェック

ルーカスHCに対戦した日本チームの感想を尋ねると、「特に印象的なのは名古屋D U16のスピード。サイズはそこまでなくても、あのようにスピードを生かした速い展開ができるというのは、チェコにとってもいい経験でした。それをこの年代で経験できるということが非常に大きなことだったと思っています」と答えてくれた。その言葉は正にこの大会の意義を象徴していた。

大会は出場各チームにとって大きな意義を持つものとなっている


大会2日目の明日4日は、A、B各グループの上位3チームによる順位決定トーナメントが行われる。準決勝に勝ち進んだのは、CZ Academy U15、横浜BC、名古屋D U16、福岡U16の4チーム。果たして優勝の行方は? 近い将来、国際舞台での活躍が期待される選手たちの成長の過程を、しっかりと目に焼き付けておきたい。

【4日の試合予定】
[9:30〜]<準決勝①>
CZ Academy U15(Aグループ1位)×福岡U16(Bグループ2位)
[11:15〜]<準決勝②>
名古屋D U16(Aグループ2位)×横浜BC(Bグループ1位)
[13:30〜]<各グループ3位の交流戦>
島根SM×サムソン U15
[14:45〜]<決勝戦>

B.LEAGUE U16 CHALLENGE CUP 2024
■開催日程:2024年2月3日(土)~2月4日(日)
■会場:国立代々木競技場第二体育館(東京都渋谷区)
■出場チーム:
<グループA>
名古屋ダイヤモンドドルフィンズU16(B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023 1位)
U16島根スサノオマジック(B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023 4位)
CZ Academy U15(チェコ)
<グループB>
ライジングゼファー福岡U16(B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023 2位)
横浜ビー・コルセアーズU16(B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2023 3位)
サムソン サンダーズ U15 (韓国)
■大会形式:2グループ(1グループ3チーム)に分かれて予選リーグを開催。予選リーグの順位をもとに順位決定トーナメントを実施。
■配信:バスケットLIVE、B.LEAGUE公式YouTube
■試合スケジュール:
<2月3日(土)>
[10:00〜]<グループA>U16島根×CZ Academy U15
[11:45〜]<グループB>横浜BC U16×サムソン サンダーズ U15
[13:30〜]<グループA>名古屋D U16×U16 島根
[15:15〜]<グループB>福岡 U16×横浜BC U16
[17:00〜]<グループA>CZ Academy U15×名古屋D U16
[18:45〜]<グループB>サムソン サンダーズ U15×福岡 U16

<2月4日(日)>
[9:30〜]<準決勝>Aグループ1位×Bグループ2位
[11:15〜]<準決勝>Aグループ2位×Bグループ1位
[13:30〜]<各グループ3位の交流戦>
[14:45〜]<決勝戦>

■特設サイト: https://www.bleague.jp/u16-challengecup-2024/

文/村山純一(月刊バスケットボール)、写真/石塚康隆

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