15歳の美少女に世界が恋したラブロマンス映画『エンドレス・ラブ』はトム・クルーズの映画デビュー作! しかもアカデミー賞&ラジー賞に同時ノミネート

『エンドレス・ラブ』© 1981 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.

ブルック・シールズの時代

1981年に公開された恋愛青春映画『エンドレス・ラブ』を記憶している人、そして主演のブルック・シールズに恋い焦がれ憧れた方々は現在、おそらくアラフィフ以上の世代でしょう。80年代にその浮世離れした美貌で世界的な人気を博したシールズは、2024年5月に59歳の誕生日を迎えます。

シールズはイタリア貴族の血を引く実業家の父と女優の母のあいだに1965年に生まれ、生後すぐにモデル活動を開始。1977年(12歳)に端役で映画デビューを果たすと、翌年にはルイ・マル監督作『プリティ・ベビー』で娼婦役を演じるという、現在では完全NGであろう作品などで着実にキャリアを積んでゆきます。

そんなこんなで10代にして主演作が続々制作されるようになったシールズは1980年、『青い珊瑚礁』によって世界的な大スターに。やがて“美人の代名詞”と称されるまでになった彼女が満を持して主演したのが、青春恋愛映画『エンドレス・ラブ』です。

悲劇のきっかけはトム・クルーズの助言!?

『エンドレス・ラブ』は、17歳の少年と15歳の少女の禁じられた激しい恋を描く青春ラブストーリー。17歳の少年デイヴィッドは2歳下の美少女ジェイド(シールズ)に夢中です。ジェイドの両親も幼い2人の交際を温かく見守っていましたが、ある夜、娘の部屋で裸のデイヴィッドを目撃した父親が大激怒! 2人は逢うことを禁止されてしまいます。

しかしジェイドへの想いが募るデイヴィッドは狂わんばかりになり、あろうことか彼女の家に放火。当然ながらバチクソ怒られ数年間の施設送りになるのですが、その後もジェイドと逢うことは禁じられてしまいます。それでも彼女への想いが捨てられないデイヴィッドの行動は、取り返しのつかない不幸を招くことになり……。

“純愛”と言えば聞こえはいいですが、あまりにも独りよがりなデイヴィッドの好き好き作戦は思わず呆れてしまうほど。しかも、浅はかすぎる“放火エピソード”を披露する悪友ビリーを演じたのは、あのトム・クルーズ(当時19歳)! 現在よりも甲高い声が印象的な若かりしトムですが、本作は彼の長編映画デビュー作でもあるのです。

アカデミー賞とラジー賞に同時ノミネートの珍事

ライオネル・リッチーとダイアナ・ロスのデュエットによる本作の主題歌「エンドレス・ラブ」は大ヒットし、第54回アカデミー賞の主題歌賞にノミネート。ところが本作は、第2回ゴールデンラズベリー賞でワースト作品賞やワースト主演女優賞ほか7部門ノミネートという、過去に数えるほどしか例のない不名誉な快挙を成し遂げてしまいます。

ちなみに先述の『青い珊瑚礁』は第1回ゴールデンラズベリー賞の最低主演女優賞受賞作ですが、これらはシールズが世界に与えたインパクトを物語るエピソードとも言えるでしょう。80年代初期から日本のセクシー雑誌の表紙にも登場したりしていたシールズは、映画という枠を超えて多くの人々を魅了していたのです。

『エンドレス・ラブ』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年2月放送

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