「このままだとなくなってしまうかも…」 地域の暮らしを支える共同売店の存続に危機感 国頭村で住民ら議論

 「第3回共同売店サミット」が4日、国頭村の浜地区公民館で開かれた。地域の暮らしを支える共同売店の未来に危機感を抱く住民やファンなど約70人が詰めかけ、運営者などと意見を出し合った。

 地域住民が共同で出資し運営する共同売店は1906年に同村奥で誕生し、買い物が不便な地域を中心に普及してきた。だが近年は人口減少やスーパー、コンビニの登場などで厳しい経営状況にある。

 休業していた同村の浜共同店を2022年10月に再開させた山城吉秀さん(66)は、省エネ性能が高い冷蔵庫の導入や安い問屋で商品を仕入れるなどの工夫をしていると紹介。それでも自身の人件費の捻出は厳しいという。「仕入れを安くするために他の売店と連携して共同で仕入れたり、地域の人にもっと使ってもらったりする必要がある」と話した。

 沖縄国際大学の村上了太教授は、発祥当時の奥では陸路で物資を運ぶのが難しく、山原船の所有者や寄留商人に生活必需品を握られていたとし、「集落の暮らしを自衛・防衛するという理念から設立された」と説明。今後生き残るには「共同売店の存在理由が、住民に理解されることが大切」と訴えた。

 山田沙紀さんは「愛と希望の共同売店プロジェクト」をテーマに掲げ、交流サイト(SNS)や映像制作で魅力を発信している。「住民の需要に合わせ、そうめん1束や卵1個など、ばら売りの工夫がなされていたりする」と柔軟な経営の魅力を伝えた。

 発信する理由として「このままだとなくなってしまうかもしれない。現場で頑張っている人や必要としている人の姿を見てもらい、どうしたらいいかを考えてもらいたい」と述べた。

(北部報道部・松田駿太)

経営状況が厳しい共同売店の未来を考えようと多くの来場者が詰めかけた=4日、国頭村・浜地区公民館

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