「日頃の備えを」能登半島地震や東日本大震災の教訓訴え 地震本部が講演会 青森・八戸市

能登半島地震について語る今村教授

 地震調査研究推進本部(地震本部、事務局・文部科学省地震・防災研究課)と青森地方気象台、青森県八戸市は4日、同市公民館で「地震本部地域講演会」を開いた。「地震・津波を知ろう!備えよう!」をテーマに専門家や同市の関係者ら6人が講演。それぞれの立場で能登半島地震や2011年の東日本大震災を通した教訓や課題を述べ、改めて「日頃からの備えが何より重要」と強調した。

 地域講演会は自治体や住民に災害リスクの認知を高めてもらうため、地震本部が本年度初めて企画。八戸市は横浜市に続いて2回目の開催で、県内外から約350人が参加した。

 東北大学の今村文彦教授(津波工学)は、能登半島地震では発生後1分で津波が到達した場所があったとして「気象庁の警報が間に合わない可能性もある。沿岸部では揺れたらすぐに海岸を離れ、高い場所に移動を」と訴えた。津波到達前に全員が安全な場所へ移動することが一番大切-とし、避難訓練の際には「ストップウオッチを持って時間を確認してほしい」と求めた。

 弘前大学大学院の前田拓人教授(地震学)は、地震のメカニズムを説明し「地球規模の非常に大きな動きで、とても人類はコントロールできない。地震には備えるしかない」と強調。一方、近年は観測網が発達し研究が進んでいることから「調べた成果を将来の予測や減災に役立てていきたい」と述べた。

 八戸市危機管理部の下村晃一次長は、何度も大きな地震や津波に見舞われた同市の歴史を振り返り、「試験や試合と同様、災害時も普段通りの力しか出せない」と防災教育や訓練などの必要性を語った。同市江陽地区自主防災会の田邊隆会長は、市の津波避難計画が見直された22年度に地域と江陽中学校が連携して実施した防災訓練の様子を紹介した。

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