産科がない国東市、出産支える新制度 医療機関に迅速搬送、受診時の交通費と宿泊費助成【大分県】

妊娠・出産支援制度の活用を呼びかける国東市子育て世代包括支援センターと市消防本部の職員=同市国東町
妊娠・出産のサポートに力を入れる国東市子育て世代包括支援センター

 【国東】国東市は妊娠・出産を支える二つの制度を設けた。妊婦の緊急時、産科医療機関に速やかに搬送する「くにさきママサポート119」と、受診などでかかった交通費と宿泊費の助成。活用を呼びかけている。

 「くにさきママサポート119」は、対象が市内在住か、里帰り出産で市内に滞在する妊婦。希望者は市子育て世代包括支援センターか、市の各支所で事前に登録をする。

 ▽陣痛や破水の兆候▽激しい痛み▽強い頭痛や吐き気▽転倒して腹部を強打―などの場合、119番すると、住所や氏名など登録データを基に消防が通常よりも迅速に対応できるという。制度は出産後、1カ月程度まで利用できる。

 安心して出産してもらうのが目的で、市消防本部と連携した取り組み。市によると、県内の自治体では初めて。市内の妊婦の8割(1月末時点)が登録しているという。 

 「交通費と宿泊費の助成制度」は市内に産科医療機関がないことから、出産時の経済的負担を軽減するのが狙い。

 対象は住民登録がある市内の自宅から最寄りの産科までの距離が20キロ以上の人。受診1回当たり20キロ以上30キロ未満は千円、30キロ以上は1500円を助成する。申請の上限は17回で、うちタクシー利用は2回(1回の上限1万2千円)まで。

 出産時などの宿泊費は1日当たり妊産婦に5千円、夫ら付添人1人に3千円を支給する。上限は5回。

 市内の妊娠届け出数は2019年・123人、20年・119人、21年・107人、22年・86人と減り続けている。

 いずれの制度も少子化対策として、昨年10月から始めた。市子育て世代包括支援センターは「安心して子どもを産めるよう制度を役立ててほしい」と話している。

 問い合わせは同センター(0978.73.2525)。

© 有限会社大分合同新聞社