「おおいたシニアエッセイ」山蔭さん最高賞 もう一度食べたいスリリングな母の味【大分県】

特選に選ばれた山蔭政伸さん

 【大分】県老人クラブ連合会が募集した本年度の「おおいたシニアエッセイ」で、大分市寒田の山蔭政伸さん(70)の作品が最高賞の特選に選ばれた。亡くなった母親をしのび、思い出の味を懐かしむ内容。山蔭さんは「多くの人に読んでもらえてありがたい。母も喜んでいると思う」と笑顔を見せた。

 タイトルは「スリリング巻きをもう一度」。母の君子さんが作った巻きずしは、具だくさんでおいしかったが、時には塩辛く仕上がることもあり、こっそりそう呼んでいた。

 作品は、2年前に90歳で亡くなるまで料理や趣味の人形作りを楽しんでいた君子さんの姿を生き生きとつづった。スリリング巻きの記憶を思い起こし、「もう一度、食べてみたいものだ。しょっぱくてもいい」と結んだ。

 山蔭さんは県庁などに68歳まで勤務。退職後の空き時間を使い、文章を書くようになった。

 おおいたシニアエッセイには初挑戦。「評価されてうれしい。テーマに沿って文章を書き、並び替えてそぎ落とす作業は頭の整理にもなる。今後も楽しんで続けたい」と話した。

 県老連によると、本年度は県内15市町の63~97歳の95人から作品が寄せられた。作品集を1700部発行し、無料で配布している。問い合わせは県老連(097.552.0502)。

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