トラクターをシェアリング…見沼田んぼ周辺の新規就農者ターゲットに拠点 さいたま市とクボタが協定

締結式に参加したクボタの辻村克志部長(左)と市経済局の矢口敦彦局長=1日午前、さいたま市役所

 埼玉県さいたま市と農業機械大手のクボタ(大阪市)は1日、農業機械のシェアリングサービス事業などを展開するため、連携協定を締結した。3月から見沼区片柳にクボタ製のトラクター2台を貸し出せる拠点を設置し、新規就農や事業拡大へ金銭面などの課題を解消する狙い。

 主に見沼田んぼ周辺の新規就農者をターゲットとして、21馬力のトラクター2台を貸し出す。うち1台は芋用の掘り取り機が付いている。1回の利用は平均して3時間を切り、混雑しないと予想している。

 クボタが行う農業機械のシェアリングサービスは全国10自治体、12拠点で導入されており、県内では深谷市内の2カ所で導入。利用には専用サイトに登録し、操作などの講習を受ける必要がある。予約は24時間いつでも可能で、料金は1時間当たり4千円程度を想定している。

 さいたま市では昨年度21人が新規で就農。新規就農者からは「自宅に農業機械を置くスペースがない」「トラクターのような高価な農業機械を買うことができない」と声が上がっていた。導入するトラクターは新品で約210万円で、購入するよりも安価に利用できる。

 クボタの辻村克志ビジネスインキュベーション部長は「農家の減少が深刻で、農業を始めようという人が足りていない。シェアリングだけでなく、農機の自動化などのスマート農業にも力を入れていきたい」と話していた。

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