郷土3力士に避難所沸く 遠藤、大の里、輝 内灘で「一緒に頑張ろう」

避難者と記念撮影する(左から)遠藤、大の里、輝の3関取=6日午前10時45分、内灘町宮坂のほのぼの湯

 遠藤(穴水町出身)、大の里(津幡町出身)の幕内力士2人と十両の輝(七尾市出身)が6日、能登半島地震発生以来初めて石川県入りし、被災地を巡った。最初に訪れたのは大の里の祖父が暮らす内灘町の避難所で、郷土3力士のそろい踏みに被災者は「地震のことを一瞬忘れさせてくれた」などと笑顔を見せていた。

 44人が今も避難生活を送る内灘町宮坂の町展望温泉「ほのぼの湯」では、握手や写真撮影を求める避難者で大盛り上がりとなった。自己紹介で大の里は「母親が内灘町出身で、おじいちゃんにも久しぶりに会えた。来られてうれしい」と話し、祖父坪内勇さん(75)=宮坂=との再会を喜んだ。輝は「皆さんと少しでも触れ合えたらと思う」と語り、遠藤は「一緒に頑張ろう。大丈夫です」と力強く呼び掛けた。

 坪内さんは「孫に会えてじーんときた。頑張れと励ます側なのに、逆に励まされた」とにこり。中居俊邦さん(67)=内灘町宮坂=は「3人と握手できてうれしかった。何より元気が出た」と喜んだ。

 支援物資の「ちゃんこおでん」が贈られ、3人はガッツポーズで避難者と記念撮影した。大の里は「春場所で明るい話題を届けられるように頑張る」と奮闘を誓った。

 被災地訪問に先立ち、一行は県庁に馳浩知事を訪ね、同行した元関脇・栃乃洋の竹縄親方(七尾市出身)が日本相撲協会の義援金1千万円と、初場所中に募金した535万円を手渡した。

 遠藤は「実家は今も断水が続く中、家族は必死に生きている」と心配そうな表情を浮かべた。輝は「家族は避難所から実家に戻ったが、水がないのが大変そうだ」と知事に伝えた。

  ●4月16日に「勧進相撲」

 竹縄親方は、日本相撲協会で資金を集める目的の「勧進相撲」を両国国技館で検討しているとし「まだ企画段階だが4月16日に開催し、収益を義援金としたい」と話した。

 七尾市では4月6日に春巡業が予定されていたが、地震を受け見送りが決まった。県庁では大相撲七尾場所実行委員長の和田内幸三県議が同席した。

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