【能登半島地震】長引く断水の要因は「配管の耐震化の遅れ」と「人手・資金」 現地派遣の職員が指摘

テレビ愛知

能登半島地震の被災地では、地震発生から1カ月以上が過ぎた今も断水が続いている地域があります。そのうちの1つ、石川県珠洲市で下水施設の被害調査を行った名古屋市の職員に、断水が長引く要因について聞きました。

被害調査を行ったのは、名古屋市上下水道局東部管路センターの杉山泰彦センター長です。杉山さんは1月25日から9日間、珠洲市で活動しました。

―――災害による断水は1カ月以上続くものなのでしょうか

名古屋市上下水道局東部管路センター 杉山泰彦センター長:
「上水道下水道とも今回の地震によって心臓の部分、一番根幹になる部分がダメージを受けています。順番に直していかなければならないので時間がかかります」

特に下水施設は、地形に絡む要因が大きかったと言います。

杉山泰彦センター長:
「珠洲市の珠洲処理区という下水処理区の図を見ると、海沿いに集落が発達しています。横に長いような地形のため、下水道は中継ポンプまで管路で水を運び、マンホールの底に貯めて、水中ポンプで次のマンホールにポンプアップします。この大きなポンプが野々江と熊谷があり、この2つの心臓になるようなポンプが起動停止をしてしまいました」

上下水道の耐震適合率 石川県は全国平均下回る

飛び出たマンホール

他にも深刻な被害があります。

杉山泰彦センター長:
「街中の管路が基幹となる幹線管路です。そこに至る下水管も液状化でマンホールが突き出てしまっています」

―――マンホールが突き出てしまっていると、どういったことが起こるのですか

杉山センター長:
「マンホールが突き出てしまうと、つながる管路が曲がってしまいます」

被害が大きくなった要因の1つに挙げられているのが「耐震化の遅れ」です。主要な水道管の耐震化の進み具合を示す「耐震適合率」は、石川県の場合、36.8%。全国平均を下回っています。石川県の馳浩知事も「配管などの耐震化の遅れが、今回のダメージの大きさに直結している」との認識を示しています。

杉山泰彦センター長:
「上下水道を計画的に更新していくだけに見合う、職員の数や資金がなかったのでは。最低でも15人から20人は必要」

―――復旧作業においても人手不足で厳しいですね

杉山泰彦センター長:
「今回の地震で家が壊れたり、肉親を亡くした職員もいて、非常に気の毒。気丈に頑張っていました」

上下水道の耐震化は全国的な問題

名古屋市の下水道ついて杉山さんに聞いたところ、重点的に耐震化が進められた病院や避難所があるエリアは、ほぼ耐震化は終了しているとのことです。

ただ、これは7900キロある名古屋市内の下水道のうちの1300キロ程度。そのほかの箇所については順次進めているということでした。多くの都道府県でも同じ課題が認識されていて、国を挙げての上下水道の耐震化が求められています。

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