港湾の国際的課題話し合う世界会議 議論発祥の地神戸で25年秋初開催 震災30年の節目、復興アピールへ

神戸港

 港湾や貿易などの国際的な課題について話し合う「世界港湾会議」が2025年秋、神戸市で初めて開かれる。各国から500人前後が集い、神戸港も視察。阪神・淡路大震災の発生から30年の節目にも重なり、誘致に成功した神戸市は「震災で壊滅的被害を受けた神戸港の復興をアピールしたい」と意気込む。(井沢泰斗)

 会議の主催は、世界の港や自治体などが加盟する非政府組織(NGO)「国際港湾協会」。国連から非政府諮問機関に指定され、安全な航行のための国際ルールづくりを提言しているほか、近年は港湾産業の脱炭素化やデジタル化、またサイバー攻撃対策などに取り組む。

 総会にあたる世界港湾会議は毎年、各国持ち回りで開かれ、今年の会場はドイツ・ハンブルク。国際港湾協会を創設する議論は1952年に神戸で始まり、神戸市も過去に誘致してきたが、99年は震災の影響で断念。05年の設立50周年総会も中国・上海に敗れた。

 神戸港は戦後、高度成長の波に乗って発展し、70年代にはコンテナ取扱数で世界2位に躍進した。しかし、95年の震災でアジアにおけるハブ港の役割を失い、震災前の取扱数に戻るまで20年を要した。近年は水素の輸送や利活用など脱炭素の取り組みで存在感を高めている。

 トラック運転手の人手不足などから海上輸送は注目を集めており、25年の神戸総会では港湾設備の技術革新などについても話し合われる見通し。3日間の日程で、港湾施設の見学なども行われる。

     ◇ 【国際港湾協会】 官僚出身の松本学・日本港湾協会会長や原口忠次郎・神戸市長らが発起人となり、1952年に神戸で設立準備会議を開催。3年後に米ロサンゼルスで正式な発足に至った。世界84カ国の港や自治体など177会員が加盟。本部事務局は東京。

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