宇佐市の福祉事業所、小型家電など回収・解体 個々の障害に応じてマイペースで作業【大分県】

パソコンなどを解体する利用者=宇佐市上元重のきずな
パソコンなどを解体する利用者
パソコンなどを解体し、取り出された電子基板

 【宇佐】宇佐市上元重にある障害者の福祉サービス事業所「きずな」(出口久美施設長)は、不要になった小型家電などを回収・解体する仕事に取り組んでいる。貴金属やレアメタル(希少金属)を含んだ電子基板などを販売し、収益を利用者の給料に充てる。個々の障害に応じてマイペースで作業できるのが利点。昨年4月のスタートから回収先が増えてきている。

 障害者による小型家電解体事業に取り組む「日本基板ネットワーク」によると、同事業は2010年に新潟県で始まった。現在は同ネットに全国68事業所が加盟し、大分県内は唯一、きずなが入っている。

 きずなはエアコン、テレビ、冷蔵庫など家電リサイクル法の対象品を除く小型家電やパソコン、プリンターを無料で回収。県北部を中心とした企業や病院のほか、一般家庭からの持ち込みも受け付けている。

 13人の利用者がねじを1個ずつ外して分解。電子基板やモーターなどパーツや素材ごとに約20種類に分別する。量がまとまると、県内外のリサイクル業者に買い取ってもらっている。

 昨年4月の取り組み当初は回収のお願いに回ると、前例がないために怪しまれるなど苦労した。徐々に取引先が増え、現在は56事業者から集めている。記憶媒体からの情報流出防止には注意を払い、解体証明書の発行もしている。

 以前は自動車部品の組み立て作業を請け負っていたが、扱う数量の多さ、厳しい納期や品質への対応が大変だったという。

 現在の仕事について、担当支援員の足達真美さん(55)は「利用者の特性に合わせ、各自のペースで働けるのが最大のメリット。解体なのでミスが発生しにくく、プレッシャーを感じずに作業している人が多い」と話している。

 回収の問い合わせは、きずな(0978.25.5151)。

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